他人といて、居心地がいいと感じることはあまりない。でも、写真部は悪くない。- 高校生インタビュー

2016年夏、クラーク記念国際高校野球部が北北海道代表として甲子園に出場。

通信制高校としては全国で初めての夏の甲子園出場を果たし、大きな話題になりました。

 

でも多くの通信制高校には、部活動がありません。

 

「部活動」は勉強以外で人とつながることができる場。
でも、それがないことで人とつながる機会を得られず、孤立しがちな生徒も多くいます。

 

そこでD×P(ディーピー)では、通信・定時制の高校生が
横のつながりをつくる「アフタークレッシェンド」の一環として
「D×P部活動」を企画運営しています。

D×P写真部もその一つ。

様々な学校の生徒が集まり、毎回どこかに出向いて写真を撮ります。
2015年春には写真展&トークショー「自信がなくたっていいんだ」を開催し、
たくさんの方々にご来場いただきました。

 

今回は写真部設立当初から参加し、写真展にも参加した
田中瑠嘉(ルカ)さんと大関哲洋(てっちゃん)さんの2人に
D×Pのクレッシェンドや写真部のことについて話を聞いてみました。

 

しんどい夢を見た後に、コンポーザーの話を思い出す。

 

ー2人はどうして通信制高校を選んだの?

 

田中:中学の出席日数が足りなくて、行きたかった高校に行けなかったからです。学校は行ってたけど、人間関係でいろいろあってほぼ毎日遅刻していました。

 

大関:僕は学校が大っ嫌いだったから。学校って、強制的でわざとらしいイメージがあった。拘束されているように感じていたから、中学の後半はほとんど学校に行かず、不登校でした。そんなんで高校に毎日通えるわけないと思った。でも、少しは外に出ないといけないかなと思って、通信制高校を選びました。

田中・大関02

(ちょうど桜が満開の時期だったので、お花見をしながらインタビューしました。)

 

ークレッシェンドに参加した時のことは覚えてる?

 

田中:はい。楽しかったです。アイスブレイクのゲームが好きでしたね。

コンポーザーさんが話してくれた失敗体験の話とかは今でもたまに思い出します。僕は中学の時、人間関係ですごく悩んでいて、今でも当時のことを夢に見ることがあるんです。でもしんどい夢を見た後、コンポーザーさんの話をよく思い出します。話の詳細を覚えてるわけじゃないけど、「そういえばあの人たちこんなこと言ってたな〜」って。別にそれで元気になるわけでもないけど、思い出してるうちに嫌な夢のことは自然と忘れてる。

 

ーD×Pのスタッフでよく連絡をとる人っている?

 

田中:たっちゃん(D×P生徒と社会をつなぐ事業部 部長)とごんちゃん(通信制高校卒業生・D×P写真部OB)とは、よく連絡とります。いろいろあって落ち込んだ時に愚痴を聞いてもらったり。たまに会って話したりもしますね。

この2人は、たぶん大人の中では一番信用してる人たち。僕にはお父さんがいなくて周りに大人の男の人がいなかったから、新鮮で話しやすいです。

 

僕にとって写真部は、唯一の「外とのつながり」

 

ーどうしてD×Pの写真部に参加することになったの?

 

大関:たっちゃんに誘われたからです。もともとカメラにはそんなに興味なかったけど、その時は予定もなかったし、特に断る理由もなかったので行ってみました。

 

田中:僕もたっちゃんから誘われて。カメラは持ってなかったけど、携帯で写真撮ったりするのは好きだったし。

 

ー写真部に入る前と入った後で、何か自分の中で変化したことってある?

 

田中:写真部に入る前は、人の多いところが苦手だったんですけど、最近ちょっと慣れてきましたね。昔はこういう花見の人混みなんか、その場所を通るのもダメで。下校中の高校生4、5人の集団とすれ違うことすらできませんでした。向こうから来たら路地裏に逃げ込むレベルで、本当に嫌だった。

でも今は、全然大丈夫になりましたね。向こうから高校生の集団が歩いてきても、ガンガン進んでいける。友達とハイタッチなんかもできるようになりました。やった後、めっちゃ恥ずかしいんですけどね(笑)

写真部に入ってなかったら、たぶん今より人が怖くて、アカンくなってたと思う。今は慣れてることとかが、全然慣れてなかったと思う。

 

 

大関:僕は外に出るハードルが少しだけ下がった気がします。一人でも外出することが増えましたね。前は何か理由がないと絶対に外に出なかった。2週間くらい家から出ないこともあって。でも今はどこに行くでもなく、ただ外を出歩くようになりました。写真を撮るっていう口実もできたし。

 

 

ー2人はどうして継続的に写真部に参加しているの?

 

田中:なんか楽しいから。写真部に入った理由の一つが、寂しかったからなんです。寂しいから行ってたら、写真部のメンバーたちと出会って、一緒に写真を撮って、仲良くなって。「なんか楽しいなぁ」って感じたから、ずっと写真部に参加しています。

 

大関:僕は外に出るいい機会になるので、写真部に参加しています。今までは集団で外に出かけたりすることはありませんでした。中学の時はゲームつながりの人しかいなくて、ずっとネット上で遊んでた。高校に入っても月2回しか登校しないし、自分から話しかけるタイプでもないのでずっと友達もできず。だから僕にとって、写真部が唯一と言っていいほどの「外とのつながり」なんです。

田中・大関03

(写真部参加中のてっちゃん。被写体に近づいて撮影する姿をよく見かけました。)

 

 

写真展は本当に嫌だったけど、終わってみると楽しかった

 

ー2015年春に企画した写真展&トークライブ「自信がなくたっていいんだ」に参加しようって誘われた時、最初はどう思った?

 

大関:僕はそんなに写真も撮ってなかったし、自分が出ていいのかなって思って、最初は断りました。でも少し経って、まだメンバーの空きがあるって聞いて、やっぱり出てみようかなって思って。

 

田中:僕は最初、めっちゃ嫌でした。当日熱出したろうかなって思ってました…。自分の写真を飾られるのは別にいいけど、トークライブで話さなあかんていうのが嫌で。

でも、ごんちゃん(写真部OB)に「ガンバレ〜」みたいに言われて、やってみようかなと思って。当日はほんまに緊張しすぎて、終わった後泣きました(笑)

田中・大関04

(写真展の様子。多くの方々にご来場いただきました)

ー実際に挑戦してみてどうだった?

田中:本当に嫌だったけど、終わってみると楽しかったですね。トークライブが終わった後、自分の写真を見てたお客さんとお話ししたりして。写真といっしょに文章(キャプション)も展示していたんですけど、その文章をすごく褒めてもらえて。嬉しかった。

 

 

ー写真展を経験して、なにか変化したことはあった?

 

田中:基本的には変わらなかったけど、前よりもちょっと写真を撮るのが楽しくなりました。理由はよくわからないんですけどね。

あと、てっちゃん(大関)と話すようになったり、遊びに行くようになったのも写真展の時からだよね。同じ経験をして、信頼度が上がった感じ。

 

大関:うん。僕は話しかけられないと自分からは絶対に話しかけないし、もとから人と話すことが少なかったんですけど。写真展後はルカ(田中)から話しかけられることが多くなったんで。

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(写真展後、写真部メンバーで記念写真!)

 

 

写真を通じて、同じ経験をして。だから信頼できるのかな

 

ー2人にとって写真部のメンバーはどんな存在なんだろう?

 

大関:なんだろう…。友達っていうのはちょっと違うのかもしれない。小学校以来、ゲーム以外で友達ができたことがないので、よくわからない。ふわふわした存在です。

他人と一緒にいて居心地がいいって感じることはあまりないんです。でも、写真部は悪くはないですね。まぁ、普通って感じです。

 

田中:僕も自信持って写真部の人たちが友達だとは言えないです。でも、けっこう信頼してます。そこまでキャラを作らなくても関われる。

なんだか、適切な距離感があります。心地いい感じの。

 

ーどうして写真部の人たちは信頼できるの?

 

田中:これまで友達とどこかに行ったり、長時間一緒にいることがなくて。写真部はみんなで一緒に写真を撮るじゃないですか?そういう、写真を通じて、同じ経験をして。だから信頼できるのかなぁ。よくわからないんですけどね。

 

ー写真部とかD×Pって、どんな場所?

 

田中:保健室みたいな存在です。学校よりも気軽な感じ。保健室って学校の中にあるけど、僕にとっては学校の中で一番安心できる場所だったんです。だからD×Pのクレッシェンドも写真部も、保健室。学校とは無関係じゃないけど、学校とは違うなにか、みたいな。

 

 

インタビュアー:金子祐樹・近藤紗恵子・荒木雄大

文責・写真:荒木雄大

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