飛行機4時間で出会った見たことのない世界。生きる力をなくしていた彼女の現在地。

「スタディツアーって言われているけど『ツアー』っていうぐらいだから

正直、遊び感覚だった。」

 

と笑う彼女は、明るく元気な女の子。

もうすぐ20歳。バイトを二つ掛け持ちしながら、忙しく毎日過ごしているそうです。

 

このインタビューの日も、朝7時から13時までのバイトの後、電車に1時間ほど乗って

大阪天満橋のD×P事務所までやってきてくれました。

 

インタビューのなかで話してくれたのは、こんな彼女の様子から伺えないような過去。

 

高校2年生の6月にある事件の被害に遭って…。そこから生きる力がなくなってしまいました。

きのうまですっごい明るくて元気だったのに、そのことがあってから人生がどうでもよくなって。

 

学校にもいけない。高校2年生、新学期が始まって新しい友達もできたばかり。「どうしたの?」って聞いてくれる友達にも連絡を返すこともできない。

 

心配してくれていた友達とも、次第に溝ができていってしまったのだそうです。学校に行っても、ひとり。面白くもない。誰にも話せないし、話したくない。そんな日が続きました。

 

 

 

 

毎日15時ぐらいに起きて、ゴロゴロしてて将来のことも何も考えられなくて。

思い出しては苦しんで自分を責めて、でもどうしようもできなくて。バイトだけは続けていたので時間になったらバイトに行くって感じの生活を2年弱、スタディツアーに行く直前までしてました。

 

でも、確かに「自分が、変わらなきゃいけない」という気持ちはあって。

 

母から、フィリピンへ行けるスタディツアーがあるよって聞いて。言い方はちょっと悪いけど、もしかしたら無料で行くことができるかもって。

それを聞いて、もしかしたら自分が変われるチャンスかなぁ…と思って、チャレンジしてみようと思いました。

 

2017年、2月27日から3月10日までの約2週間の12日。少しの期待を持って、飛び出した日本、いつもの日常。

 

 

朝は、早く起きてスケジュールも詰め詰め。半ば強制的に変わる生活の中で目にしたものとは…?

 

 

たった4時間、飛行機に乗っただけで見たことない世界

 

いそちゃん
 スタディツアーに参加が決まった時はどんな気持ちだったの?

 

正直、スタディ『ツアー』って言われてるぐらいだから、勉強ってイメージをあまり持ってなくて。「みんな、遊び感覚で行ってるんかなぁ」って思っていました。

今まで、海外は行ったことあるんですけど…。海外=すごいきれいなビルとかきれいな街とか…そういうイメージしかなくて。フィリピンもセブ島とかそういうきれいなイメージがあって。

でも、行ってみたら…たった4時間、飛行機に乗っただけで見たことない世界があって。それにまず衝撃をうけました。

 

(セブ島をイメージして到着した、フィリピンの様子…あれ?なんだか思ってたのと違う!)

 

 ホテル…いや、宿舎…ホテルっていう人もいるんですけど、宿舎が正しいですね(笑)。

2段ベッドが二つにトイレとお風呂がある部屋で、他の参加者と一緒に4人で過ごしました。トイレの紙も流れへんし、「ええー!!!!」って感じで(笑)。

 

いそちゃん
ちなみに、フィリピンには興味あった? 

 

まったくなかったです。どちらかといえば、アジア系じゃなくてアメリカとか…

 

いそちゃん
パリとかイタリアとか?(笑) 

 

…そうですね(笑)。

小学校の時の道徳の時間に「世界には貧困の子たちがいっぱいます。」という話を聞いて、世界って同じ時間を過ごしているのに平等じゃないっていうのを感じたことがあったんです。この時間にも誰かが困っているのかなって思っていました。

私は、今学校に行っていない。学校に行けるだけでありがたいことなのに。フィリピンの人たちは、行きたくても学校に行けてないっていう現状を「事前学習会」で知って。もしかしたらそのありがたみがわかるかもしれないなって。

このスタディツアーでは、自分の目でフィリピンの現状を確かめようと思って参加しました。

食べるゴミのことを「パグパグ」というんです。それもとても衝撃的でした。

 

いそちゃん
現地の人とも交流をしたの? 

 

貧困地区と言われるペレーズでホームステイしたり、トンド地区などに行きました。

トンドでは、ゴミが大量に山積みになってあるんです。ゴミを拾って、そのなかでお金になりそうなものを売って生活している人がいたり、ファーストフード店から出たゴミを調理しなおして食べてる人がいたり…。その食べるゴミのことを「パグパグ」というんです。それもとても衝撃的でした。

(奥に見えるのは、ゴミ山。子どもたちが遊ぶバスケットのゴールが手前に見えます。)

 

 

ペレーズでホームステイをしたときに、そこのお母さんが、「いつか日本に行ってみたい」って言ってくれて。そのときは、ぜひ泊まりに来て欲しいな!って思いました。

でも、そのお母さんたちは金銭的にも、現状としてもそれができない。私たちはすぐに行動に移せるのに…なんとかしたい、何か私にできることはないか?と思いました。

そんな現状があるけれど、そのペレーズで暮らす人々は、そんな状況でもひとつも暗い顔を見せずにずっと笑顔で、私にも話しかけてくれたりして。それにも衝撃をうけました。

 

 

「日本人は笑顔が少ない。」というフィリピンのお母さんの言葉

 

そして、その人たちは、「日本人は笑顔が少ない。私たちは、しんどい状態でも笑ってたら良いことがあると思う」って言っていて。

周りの人の温かさとかも感じて、わたしももっとがんばらなきゃって思ったんです。

(ホームステイさせてもらったおうちの様子)

 

いそちゃん
日本とは、あまりに違う環境だったんだね。 

 

日本は、働ける手段や選択肢はたくさんあると思います。でも、フィリピンの人たちには選択肢はないし、仕事も少ない。ゴミを売ってお金にしたり、ココナッツ農家とか、漁業とか。

ココナッツや魚介が取れなかったら、お金は得ることができない。だから貧困と言われているのかなって思いました。

 

この現実を目の当たりにして。「ペレーズは、貧困貧困ではないか?」という問い

 

いそちゃん
スタディツアーでは、他の参加者とディスカッションをするプログラムも多かったんだよね? 
そうなんです。その「ディスカッション」という言葉も、私はそのときに初めて聞いて(笑)。

高校では、班になって話し合っても感想が「よかった」とか一言だけっていうことがよくあって。スタディツアーの参加者の大学生と話し合ったときに、同じように話を聞いていたこの一瞬でこんなにたくさんの意見が出てくるってすごいなってびっくりしました。

 

いそちゃん
印象に残っているディスカッションはある?

 

印象に残っているのは、「ペレーズは、貧困か貧困ではないか」っていうディスカッションをしたんです。世界的には貧困地区といわれているんですが…。

 

いそちゃん
すごく、難しいね。

 

そう、すごく難しかったんです。私は貧困と答えたんですよ。物々交換をしてるし欲しいものも買えないから。

そしたら、ある男の子が「わからない。」と答えて。 ペレーズは、「貧」かもしれないけど「困」ではない。物々交換とかをして、ものは手に入れることができる、なによりみんな笑顔だし。確かに貧しいけれど、困ってない と。

 

(子どもたちは、みんな人懐っこくて笑顔が可愛かったのだそう)

 

「もっといろんな意見が出したい。」という思いに動かされ、想像もしていなかった自分へ。

 

いそちゃん
そんな考え方があるんだね…!

 

私にはこんな考え方ができなくて、驚きました。もっと、いろんな意見を出したい。私もがんばろうと思って。

そんなきっかけで、次回のスタディツアーはリーダーとして参加するんです。スタディツアーは参加者が3つの班に分かれて活動するんですが、その3つの班のそれぞれに一人リーダーがつきます。

今は、次のツアーに向けて、フィリピンの歴史についてもっと学んだりしています。参加者の人たちに質問されたときに私たちが答えられなかったらいけないから。答えられるように頭に叩き込んで。

 

いそちゃん
1年後、そんなことをしているって想像してた?

 

もう、全く想像してなかったですね。ここまでほんとに変わるっていうのが信じられないです。明日の自分もわからないぐらいだったのに。

リーダーとかも率先してするタイプとかじゃなくて。学生の時は、絶対やらなかったと思います。今回、声をかけてもらった時にも「私、絶対無理!」って思ったんですけど…。でもこんなチャンスってもう二度とないかもしれないって思って。

この先、就職とか未来に役立つかもしれないと思ったのでやることを決めました。

 

いそちゃん
そうなんだね。就職とか未来、どんな自分になりたいというのは、ぼんやりとでもある?

 

まだ、あんまり決まっていないんですが、困ってる人たちを助けられる仕事をしたいなと思います。

 

ーーーー

インタビューありがとうございました!

 

 

 

 

正直、この記事を仕上げるのに、少し迷いました。冒頭に彼女が事件の被害にあったことを書いてしまうと、「辛い経験のあった女の子がスタディツアーに行って変わった」みたいに美談で終わってしまうのではないか…と。

 

でも、インタビューをしながらも戸惑ってしまった私に彼女はこう伝えてくれました。

 

私は被害にあった後、ずっと引きこもっていたんです。でも、そういうふうに何らかかのつらい経験をして動けずにいる人は、きっとたくさんいる。

私と同じ高校生のなかにも。私がフィリピンに行って、変わるきっかけになったから。その人たちもD×Pさんに出会って、フィリピンに行って変わるかもしれない。だから、載せて欲しいです。

 

 

だから、この文章は私の決意です。

 

彼女のことばが、様々な辛い思いを抱える高校生に届きますように。

 

そして、

 

周りの人たちと関われず、一歩踏み出すことが難しくなってしまった高校生が、フィリピンへと向かうきっかけになりますように。

 

Text by 磯 みずほ

Illustration by 藤井里名(企画運営インターン)

****

 

 

 

このフィリピンスタディツアーは、株式会社ココウェルとNPO法人D×P(ディーピー)が主催するココファンドプロジェクトにて高校生を送り出しています。

 

ココウェル代表の水井さんは、ご自身が学生時代にフィリピンの貧困問題を目の当たりにしたことが起業のきっかけとなっており、日本の若者にフィリピンの現状を実際に見てもらいたいという想いがありました。

 

その水井さんの想いと、D×Pのしんどさを抱えた高校生に挑戦の機会を提供したいという想いが一つになって生まれたのが、この、ココファンドプロジェクト。スタディツアーは、認定NPO法人アクセスのご協力により実現しています。

 

ココファンド対象リップクリーム1本をご購入いただくごとに、100円がココファンドに寄付されます。

 

 

2018年夏頃にも、高校生をフィリピンに送り出すことが決まりました!

 

あなたもココファンドリップを購入して、高校生の「一歩踏み出す勇気」を

そして、その決断を応援しませんか?

 

 

ココファンドリップを購入はこちら

※ココファンドプロジェクト事務局では、ココファンドリップを取り扱ってくださるお店も募集しています。ご興味がおありの方は、こちらからお問い合わせくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

ページトップへ