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「転学しなくていいなら、その学校にいたかった」不登校を経て転学したふたりの10代の声

不登校の子どもたちにかけるメッセージでよく見かけるのは「学校にいかなくてもいい」ということ。どうしても休んではいけないと考えている子どもにとっては、大切なメッセージです。休むことを大切にするとともに、課題を抱える学校や教育制度、そして周囲の人の関わりもアップデートすることで、本人が希望する場所で学び続けることができる環境をつくることができるのではないでしょうか?

不登校を経験し転学することになったふたりに「どんな学校があったらいいと思うのか?」をユキサキチャットで詳しく尋ねてみました。

2022年8月3日(水)〜8月10日(水)まで、ユキサキチャットに登録している13~25歳を対象に「学校・教育に関するアンケート」を実施。307名から回答が届きました。回答してくださった方にもさまざまな意見や考えがありました。

いろんな点で強制されないゆるい学校だったら…

1人目は、17歳の彩奈(仮名)さん。

「中学生の頃は、アトピー性皮膚炎で症状が出て、避けられているように感じたから。一回休むと周りの人の目が気になりました。高校の時に学校に行きづらいと感じたのは、先生が一部の生徒を見下している感じで接していて、生徒によって態度を変えているのが許せなかったから。怒られているのを見て自分も辛くなりました。緊張状態がずっと続いて、アトピー性皮膚炎が出るようになって、高校を転学しました。友達や好きな先生は少しだったがいたので、悲しかった」

意味のわからないルールや、学校の拘束時間が長かったことも、彩奈さんが学校に行きづらくなった理由のひとつです。

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「例えば朝課外など、朝早くから勉強するのが合わなかった。白の下着しかダメとか。薄いストライプがはいっているのを着ていたら風紀検査のときに注意されました。男子のマッシュ(ヘア)やツーブロックも禁止。風紀検査のとき、男性の先生が女子のところにいて、爪の検査をしていたけど、なんとなく嫌だった。女子は女性の先生にしてほしいなと思った。1年前の話なので、今はもう少し緩くなっているかもしれません」

ー転学するまでに、学校からのサポートがあったり彩奈さんの気持ちを伝えたりする機会はありましたか?

「私は1ヶ月くらい別室登校をしていて、そのときに担任の先生と少し話したことがありました。担任の先生は私の考えを理解してくれて、スムーズに転学する準備を始めることができました。

別室登校をしている時に、相談室の先生と担任2人で私のところに来て『カウンセラーの先生と話してみないか?』と聞かれました。半ば強引で少し嫌でしたが、話すことになりました。特に話すこともなかったので、1回だけで終わりました。転学することについて考えが整理できたのでそれは良かったです。2年生になり、3日しか行っていないのに、クラスみんなで寄せ書きみたいなのを書いて担任から渡されたのでそれはとても嫌でした。一言も話したことない人ばかりなのに、先生に言われて書いたんだろうなぁと思うと、複雑な気持ちになりました。最後は担任と好きな先生にお礼の手紙を書いて渡しました」

ークラスの寄せ書きの話、いい気分はしませんね。もし、転学しなくてよいなら、彩奈さんはその学校にいたかったのでしょうか?

「転学しなくてよいならその学校にいたかったです。友達や好きな先生がいたからです」

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ーどんなことがあれば転学せずに通えたと思いますか?

「別室登校の環境を変えたり、先生間で共有したりしてほしかったです。

具体的にいうと、

①別室登校をするとそこにいる先生が腫れ物にさわるみたいな感じで、あまり話すことができませんでした。私としてはクラスの雰囲気に合わなかっただけなので、そんなに気を遣わなくていいのになぁと思いました。基本的に一人で寂しかったので話し相手がほしいと思いました。

②もう少し生徒に任せてほしいなと思います。高校生はもう小中学生のように先生があまり関与しなくても大体はできると思います。それなのに、宿題をたくさん出したり、朝課外を強制したり、校則で縛ったりします。先生達は忙しいといいますが、自分達で生徒を管理しようとするから忙しいということもあるのではないかと思います。もう少し生徒を信じて生徒の判断に任せてほしいです。

③生徒を成績で判断しないでほしいです。いい大学に行けば幸せになるという時代ではないので…私が最初成績が悪い時は冷たい感じで接していたのに、良い成績を取ったら、わかりやすく態度を変えて、この成績だったらどこでも行けますよ!と言われました。成績だけで扱われ方が違うんだなぁと思って嫌でした。だから、成績ではなくその個人の中身を見てほしいです。生徒が主体で自分の興味や関心をなんでもいいから、掘り下げることができる授業をしたい。大学受験のことしか考えていない先生が多いので、学力だけがすべてではないという考えを見せてほしい。

結論は、いろんな点で強制されないゆるい学校だったら通えたかなぁと思います。」

出来ないから学びにくるのに出来ないと退学になるんですよね

2人目は16歳の裕也(仮名)さん。以前は、中高一貫校に通っていて、行事の準備などにも参加。学校生活も楽しく送っていたと言います。

「高校に上がってから腹痛で学校を休む日が増えていき、出席日数で2年に上がれない事が確定したため転学しました。今思えば、仲の良い友人が別のクラスになったり(文理選択があるので同じクラスになる最後のチャンスでした)、課題がほとんど出せていなかったり、部活も自分だけ能力が低かったりと、無理になる環境は出揃っていたのかな、と思います。

学ぶのは好きなんですが、自分で勉強するのは苦手でした。先生から教えてもらうと頭に入りやすかったので、この学校を辞めたくなかったです。先生の話を聞きながらノートを取り、途中で分からないところがあったら授業終わりに先生に聞く、の繰り返しで頭に入れていました。(勉強が)出来ないから学びにくるのに出来ないと退学になるんですよね」

ー現在の学校はどうですか?

「小学校の頃から宿題(自主的にする勉強)が苦手で、家で殆ど出来ないので、主に家でレポートを進める想定の通信制は難しいです。レポートを進めて、分からなかったら聞くというのが苦手なところの一つです」

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ーどんなスタイルだと学びやすいと思いますか?

「分からないです。学ぶ上では全日制のスタイルが1番良かったのですが、宿題ができない、通学できないとなると続けられないですし、通信制でも結局は自分から勉強する能力ややる気?が無いと難しいので、もう分からないです。

全日制の高校と同じ校舎に通信制高校などが入っていて、全日制の高校に体調不良などによって行けなくなってもそちらに転学して、通学は自分のペースで、授業も出たい時には出れる、学園祭も同じ面子で出来る、なんて学校があれば良いな、と思います」

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裕也さんは、「学校に行かなくてもいい」「逃げてもいい」というメッセージには、よくないと思うと回答しました。

「どうしても普通には戻れなくなるから」


彩奈さん、裕也さんのように学校に通いづらくても、転校は希望していないこともあります。しかし、現状は「今の学校に戻りにくい」ことも少なくありません。

ユキサキチャットの相談員をするYさんに話を聞きました。

ユキサキチャット相談員Yさんの声

私は、不登校の子どもや親をサポートする支援機関で長く働いていました。当時は、「学校復帰させる」サポートが主なものでした。そのときやりとりしていた方は、それぞれの選択をしてその先の人生を歩んでいるのですが、親子ともに多く聞いたのは「転校してうまくいった話は検索すればたくさん見つかるし、通信の学校も山ほど選択肢があるのはわかる。でも、学校に戻るって方法は体験談も全然ないし、いくら探しても我慢しなさいみたいなことしか書いてない」ということです。

ケースそれぞれの事情があるのは大前提ですが、いま在籍している学校に行けるようになった話も世の中にはあるので、そういうのももっとスポットライトが当たればいいのになと思います。そこには、サポートのヒントがあるのではないでしょうか。

転学するも、今の学校に戻るのも、いったん学校から離れるのもすべて同じ『選択肢』であってほしい。私はサポートする立場の人間としてその選択肢をいつも平等に提示できるフラットさをもっていたいと思います。
相談員Yさん

D×Pは、学校や社会が若年層の意見を聞く機会が必要だと考えています。若年層に意見を求め、彼らの意見を反映していくことで誰にとっても生きやすい社会へとつながります。学校に行くことが「普通」ではなく、多様な選択肢があることが「普通」にしたいと考えています。

リアルな場やオンラインを用いて、学校やフリースクール、NPO、企業などがさまざまな取り組みをしています。D×Pも10代の声を伝えながら、多様な選択肢を提示できる環境を模索していきます。


文部科学省が発表した「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小・中学校における長期欠席者数 287,747 人(前年度252,825 人)。高等学校における長期欠席者数 80,527 人(前年度76,775 人)となりました。

調査の上では、長期欠席や不登校と一言にまとめられていても、ひとりひとりに背景があり考えがあります。わたしたちは、若者の声に社会を動かすヒントがあるのではないかと考えています。そんな彼らの声を社会へ届けていきたいと思っています。

D×Pは、若年層と関わるとき「否定せず関わる」ことを大切にしています。相手や自分の考え方、価値観、在り方を否定せずに、なぜそう思うのかと背景に思いを馳せながら関わる姿勢です。

他にもたくさんの声が届いています。ぜひ、ひとりひとりの状況を想像しながら“声”を読んでみてください。

「一概に休めばいい、行かなくちゃいけない、なんて言わないで」不登校について13~25歳、307人と一緒に考える


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