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アルバイト代を親に取られる…親からの搾取、逃れて暮らす20歳の声

取材・制作:株式会社枠

たかこさん(仮名)は20歳。彼女がユキサキチャットで相談をしたのは、1年前。親との経済的なトラブルがきっかけでした。地方で暮らす高校3年生。卒業が目前の3月に高校の学費が払われていないことがわかりました。

学費の支払いができていないため、高卒資格が得られない。決まっていた大学への入学もなくなりました。取材にあたって、これまでのことをまとめたメモを見せてもらいました。

ー卒業が難しい、というのはいつわかったんですか?

「え、もう卒業間近!大学も進学が決まった後で、みんなもそれぞれ決まってて。卒業に向けての試験も全部終わった、って時に…なんかちょっと、卒業できないんじゃないか的なことを担任の先生に、ニュアンスを濁されて言われたんですよね。ショックで。みんな進路とか決まってる状態の中で自分だけ合格した大学行けなくて。30万円の学費もまだ残ってて、その時はもう何にも…今後どうしようみたいな。それで、家に帰って大泣きして「(大学に)行けなくなった どうしよう」っていう風な感じで。その後、大学進学しませんっていう書類を出して」

たかこさんは学費を払うため、求職活動を始めました。

アルバイトが決まりますが、給料の大半が母親の元へ。

「初お給料が来て、通帳の振り込みだったんですけど。6万円入ったお金のうち、(私の)手元に来たのが2万だったんですよ。で、残りの4万は、うちの母親が取ってっちゃったんで。こんなに頑張っているのに、たった2万しか、手元に来なかったのが悔しくて。家出を考えるようになりました」

家を出ることを決めた、たかこさん。

「もう家出したいと決めて。友達が家出するんだったらこっち来ていいよって言ってたので。お金もあったし、荷物も送れるような準備はできてて。でも、今後の生活を考えた時に、生活保護って受けられるのかなっていうのが疑問だったんですね。助けてくれるところがないかなと思ってたら、ネットで“ユキサキチャット”のことが出てきたので。ここに相談してみようと思って。すごい長文で送ってたので、相談に乗ってくれるかな?って思ったり(しました)」

※実際にたかこさんから送られてきた相談文

「誰かに、助けを求めないと道に迷うっていうか、何かしら壁にぶつかるんじゃないかなと思って。でも、それって地域の相談室とか、そういうところではできないし。一回、学費のこととか相談したけどなかなか返事が返ってこなかったりとか…。(ユキサキチャットは)返事してくれるのはとてもありがたい」

ユキサキチャットで相談を受けた後、食糧支援や現金給付も実施。たかこさんの生活を支えながらサポートしました。

病院に行くのにも、お金を給付してくれたりとか、食糧とか送ってくれて一番…生理用品とか助かったし。あと服とかもね。ほとんど売ってたので、こういう風に何かしらの援助をしてくれるのは、ありがたいです。本当に。」

30食分の食糧と生理用品などの衛生用品なども届けています。

たかこさんは、いま高校の学費を払うためのお金を貯めています。将来のために、医療事務の資格取得も目指して勉強中です。

「(ユキサキチャットに)関わらなかったら、恐らく死んでたかもしれないし。誰かに相談するって凄く怖くて(このインタビューで)私はこういうことがあって、でもこういうことで解決しましたっていう、(今困っている人への)道しるべになればいいかなみたいに思ってて」

たかこさん

D×Pの活動は寄付によって支えられています

月額寄付サポーターの森元さんに寄付の理由を伺いました。

「コロナで、私自身も会社とかいろいろしんどい状況の中で。その大人でさえもしんどい状況のなかで、そのしわ寄せが子どもにいってるとSNSを通して今井さん(認定NPO法人D×P 理事長)が発信してるのを見た時に、何か自分にもできることがあるかなと思いました。寄付っていう手段があるんだったら、このタイミングで始めるのが私にとっても一番いいんじゃないかなと思って寄付を決めましたね。

子どもって当然守られるべきものだと思っていたので、そこにちゃんと支援の手が入ってないことも、そこまで知らなかったし。(支援の手が入っていないところに)手を差し伸べようとする人がいるっていうところが、衝撃というか新鮮に映りました。

多くのメディアとかは「相談をする相手が必要」みたいに(言うけれど)、生きていくためには、食べ物とお金が必要じゃないですか。そこに真っ向から向き合って結果を出している。ひとつひとつの小さな種を大切に育てて、そういう地道さというか、泥臭さというか。ひとりひとりと向き合って、大切に次へつなげているところに一番の価値を感じるかなと思います」

お湯のみ
調理機器がないなど調理が難しい人などには、ポットのお湯だけで食べられるセットを送っています。ひとりひとりの事情に寄り添い、今後も安心して生活できるようにサポートします。

「私自身もそんなに家が裕福だったわけでもないし、自分のお金で大学通わなきゃいけなかったりした時は、やっぱり4年間すごいしんどかったんですよね。すごい苦しかった大学時代もあり、その後も休んでた期間もあり、そこから立ち直るのってほんと時間もかかるし。その時、私はサポートをしっかり受け取れたから。今の私は、何か必要であればできることがある。大人になった私が寄付という形で返せることになったのかなとは思いますね」


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