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「大人の扱いをされることに自信がない」「日本の18歳は自立できる状況か?」18歳成人施行、10代と大人452名の声

2022年4月1日から、成人年齢が18歳になります。認定NPO法人D×P(ディーピー)は、10代を中心に約7,000人が登録するLINE相談ユキサキチャットを運営しています。18歳成人について様々な声が集まりました。

18歳成人について、どう感じていますか?10代や当事者の声

成人の基準が下がっても18歳の心であることは変わらないから、大人の括りに入ることが心配です。自分でも責任が増えたり大人の扱いをされたりすることに自信がないです。
18歳
責任が増えるということに対して不安はあるが、政治などに自分の意見が反映されるのは新鮮
16歳
一人の大人として責任を持てるような人間になりたいけどあと3年でなれるか不安。2年の違いは気持ち的に大きい気がする。
中学生
18歳になったら物事を自分で決められる性格になりたい。
17歳
まだ早い気がします。私も4月から成人って言われても実感わかないし、お酒も飲めないから余計に「ん?」って思ってしまいます。国が税金を取りたいだけなのかなと感じました。
18歳
未成年後見人がなくなるので、今以上に一人で生きていく覚悟を固めようと思います。
17歳

認定NPO法人D×P(ディーピー)は、2022年1月28日(金)〜2月3日(木)に「18歳成人で法律上できるようになること・できないこと」の一部をクイズ形式にし、アンケートを実施。ユキサキチャットに登録する13歳〜25歳とD×Pのtwitterなどから452名が回答しました。

実施したクイズの内容と答え

Q 親の同意書がなくても、ひとり暮らしの部屋を借りることができる

→◯できる

18歳以上が成人となり、父母の親権に服さなくなります。親権は、子どもの世話、教育、財産の管理などを行う権利です。そのなかには、子どもの世話や教育をするために子の居所(生活の中心となる場所)を指定する権利もふくまれています。成人すると親の同意書がなく自分の居所を自由に決めることができるようになります。 

Q 18歳で成人になると、クレジットカードをつくることができる

→◯できる

クレジットカードをつくる前に、「あなたに支払い能力があるか?」をみるためカード会社の審査があります。審査に通ると、18歳、19歳でもカードを作ることができるようになります。ポイントがたまる、割引になるなどお得といわれる面もありますが、支払いができなければ借金になることもあります。分割払いやリボ払いなどは、手数料が高くなりいつまでたっても払い終わらない…ということもあるので気をつけて!

Q たばこを吸ったり、お酒が飲める

→×できない

 たばこやお酒はこれまでどおり。たばこを吸うと酸素が脳や体に行き渡らなくなり、思考力の低下や体の不調につながります。お酒を飲むとアルコールが脳神経を破壊し、判断力の低下、さらに性ホルモンにも影響があり生理不順につながることも。18歳や19歳の脳はまだ発達段階です。生活や健康への影響を考え、20歳からとなっています。

Q ローンを組んで大きな金額の買い物をすることができる

→◯できる

成人になると、親の同意なく一人で契約をすることができるようになります。携帯電話や賃貸物件、脱毛、エステなどの契約もできます。SNSの広告やクチコミでは、高額なサプリメントや化粧品、必ず儲かる方法、ネットビジネスの情報商材など怪しい話も多いです。購入してしまっても、「なんか変だな?」と思ったら、消費者ホットライン188に電話して相談してみてください。
 

Q 大型・中型自動車免許がとれる(トラックなど)

→×できない

 2022年5月に「道路交通法」改正され、大型・中型自動車免許(トラックやダンプカーなど)、第二種免許(タクシーなど)の受験資格が変更になります。「特別な教習」を修了した人に関しては「19歳以上、普通免許等1年以上」となる見込みです。

Q 18歳になったら男女ともに結婚できる

→◯できる 

これまで女性は16歳、男性は18歳と年齢差がありましたが、女性も18歳に引き上げられました。女性の方が成長が早いからという謎の理由でしたが、いまは社会的・経済的な成熟度には男女の違いはないと考えられています。男女ともに18歳で成人となることで、親の同意なく結婚できるようになります。

 

Q 性同一性障害の人が家庭裁判所に性別の取扱いの変更を申し立てることができる

→◯できる

家庭裁判所に性別変更の申し立てには、医師2人からの診断書など様々な資料が必要です。裁判所に認められると、戸籍上の性別を変更することができます。申し立てをしなくても、大学や高校によっては名乗りたい名前での登録をするなど配慮してくれるところもあります。みんなそれぞれが、自分がおもう性別で生きられる社会でありたいですね。

Q 公認会計士や司法書士などの国家資格をとって、働くことができる

→◯できる

試験に合格し、資格を得ることで働くことができる仕事が増えます。大学卒業時に資格試験の受験資格を得る職種もあるため、法律上では可能でも実際に18歳で”働く”には環境が整備されていない場合もあります。 

Q 分籍(親の戸籍から抜けること)ができる

 →◯できる

成人になると、分籍ができるようになります。分籍は親の戸籍から抜けることです。戸籍から抜けると、あなたの名前での新しい戸籍がつくられ、結婚、離婚、名前の改名などをしても親の戸籍には表示されないようになります。(親子関係が法律上なくなるということではありません)暴力で逃げている、なんどもお金を要求されるのが嫌など、家族に居場所を知られたくないときは、一人暮らしをして住民票を移動してから閲覧制限(親があなたの住民票で住所を知ることがないようにする)という方法もあります。

参考:法務省民事局参事官室「2022年 4月1日から、成年年齢は18歳になります。」

https://www.moj.go.jp/content/001300586.pdf

 回答者の年齢と正答率

今回の調査では全ての年齢で正答率が80%を超えた項目が4つとなりました。どの世代においても、ローンを組むについての正答率が低く、たばこやお酒に関しては、17歳・18歳の当事者は正答率100%に対して、20歳以上の正答率は87.8%と下回る結果となりました。

18歳を迎えるまでの教育の重要性とともに、成人している人も18歳成人によって変わること、変わらないことを理解していく必要があると感じます。

18歳成人についてどう感じていますか?20歳以上の回答者の声

クイズ、わからないことがたくさんありました。単純に20歳を18歳にするということではないですね。そもそもなぜ今、成人年齢引き下げの法改正となったのか、、、日本の多くの18歳は自立できる状況か?クイズに答えながら疑問しかありません。

18歳を成人とする事で縛りがなくなる部分もあるだろうけど、一方で高校卒業したての18歳が抱える不安や問題が増える気もする。これらを踏まえた上で、成人として公にすることより、社会の中で生き抜く術を教える事の方が重要だと感じる。自分にダイレクトに関わる問題ではない為(成人済み)、意識してしっかり考えた事はない。

高齢社会で高齢者の意見や要望が集中している中で社会的に生産性を上げるために若者が早く力を持てるようになっていくのは大切だと思うので良いと思います。

18歳で成人になる事は早く自立ができたり良いこともあると思うけれど、やはり成人式はハタチじゃないと受験被ったり忙しかったりして来れない人多くなりそうだし、無駄に若くで責任負わせといてお酒飲めなかったり、まだ出来ないことがあったり、なんか違うのではないか?と思うようなところもありますよね…

一足早く成人になることにプレッシャーを感じている若い方も多いかと思います。また自分を含めた世の中の大人がなぜ18才成人に引き下げられたのか、18才で成人された方たちとどのように接して行けばよいのかイメージがわいてない人が多いと思います。施行まで時間が短いですが、自分なりに理解を深め少しでも若い方のサポートが出来るようにしたいと思います。

自分の息子が該当します。寿命が伸びたため、年齢と成長が昔より低年齢化していると言われています。実際にそうだと思います。選挙権、お金の使い、ここはしっかり義務教育、高校でも教えるべきと思います。みなが家庭で学べるわけではないですから。

年齢については何歳でも構わないけれど、法律よりも社会全体の意識づけが必要と思ってます。

成人するということは、自分のことは自分で責任を取るということになるので、その年齢を引き下げたことは、個人的にはいいことだなと思いました。

新成人に自覚を促すのならば…

民法の成年年齢には、一人で有効な契約をすることができる年齢という意味父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。どちらも、自分の意思で様々なことを決定できる自由を得て、付随する責任を負うということです。

18歳成人を決めたのは当事者ではなく、現在大人であるわたしたちです。18歳、19歳に自覚や自立を促すのならば、すでに成人を迎えている大人も一緒に学び、考え、変わっていく必要があるのではないでしょうか。

家庭や学校だけが教育の場ではありません。社会のなかで学べるように、正しい情報にアクセスできる環境をつくることや困った時の相談先を用意すること、契約書の内容を十分に説明すること、困っている若者に相談先を案内することなど、できることはひとりひとりにあるはずです。

若者が活躍できる日本をつくるために

少子・高齢化が進み、生産年齢人口(15歳以上65歳未満)も下降しています。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、2015年の生産年齢人口は7,728万人。2029年には7,000万人、2040年には6,000万人となると予測され、日本経済全体の縮小、地方の過疎化、社会保障制度の保持が難しくなるなど様々な課題が懸念されています。日本の未来を担う若者が安心して活躍できるように。新成人に「自立や自覚」を求めるのではなく、大人も一緒に学びひとりひとりが活躍できる社会をつくっていきませんか?

最後に今回のクイズに回答した若者のメッセージを紹介します。

D×Pのユキサキチャットは、10代のための進路・就職相談窓口です。19歳までの進路相談と、コロナ禍では25歳までの経済的な悩みについて相談を受け付けています。周囲に困っている若者がいらっしゃる方、よかったらユキサキチャットをご案内ください。


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