D×Pタイムズ
D×Pと社会を『かけ合わせる』ニュース
D×P×10代

「いま、生きている生活圏」を飛び越える。 高校生のチカラになった”めぐりあい”。ーワールドチャレンジ募金、ショートクルーズ参加者インタビュー

D×Pが海外に高校生を送り出すワールドチャレンジ募金。彼らはピースボートでどんな出会いを経験するのでしょうか。

さまざまな価値観を持つ、全国から集まった若者たち。
ふだんはあまり話すことはないであろう人生のベテランであるシニアの方々。
日本とは異なる環境、文化のなかで生きている世界中の人たち。

出会うのは、そんな
「いま、自分が生きている生活圏」を飛び出さないと会うことはないであろう人たち。
その”めぐりあい”は、みずみずしい感性を持つ10代にとって新鮮な感動になる。

2017年のクルーズに参加したさわちゃんにも、素敵な”めぐりあい”がたくさんありました。

それから1年と少したった今、彼女はフィリピンの大学に通う一年生です。

全日制の高校生だったさわちゃんにクルーズのこと、そのあとのことを聞いてみました。

ワールドチャレンジ募金とは?
経済的困難や、不登校経験、発達障害などによってしんどさを抱えた高校生に「世界を見る経験」を届けるための寄付プログラムです。高校生が海を超えて、様々なものを見聞きできる機会をつくります。参加する高校生は不定期に公募・選考しています。

フィリピンにいるさわちゃんとは、ビデオチャットを使ってお話しました。

ピースボートには仲間の夢を応援してくれるたくさんの人がいたんです。

D×Pスタッフ:日記に「今までにはない出会いがあった。」って書いてくれてよね。さわちゃんはクルーズでどんな人と出会ったの?

さわちゃん:ユナイテッド・アース(社会問題の解決に向けて活動しているNPO法人)っていう団体の社員さんが乗船していて。クルーズの後にたまたま行ったイベントで「ピースボートに乗ってた子だよね。」と声をかけてもらってもらったんです。それがきっかけでその活動に参加するようになりました。九州豪雨の復興支援に連れて行ってもらったり、ピースフレイムムーブメント(世界から戦争や内戦・紛争を無くすことを目的としたイベント)の企画をいっしょにさせてもらったり、いろんな機会をくださって。

D×Pスタッフ:なんだか運命的だね。

さわちゃん:あと、高校では海外の大学に行くことに対して、最初のうちはあんまりいい顔をされなかったんだけど、ピースボートには仲間の夢を応援してくれるたくさんの人がいたんです。わたしが「フィリピンのセブに行く。」って言ったことに対しても、「めっちゃいいやん。いっしょに行きたいわ~。」って反応してたり。それに「必要な分だけお金稼いで、あとは遊ぶぞ。」って、楽しそうに生きている人がたくさんいました。ピースボートに乗ってた人たちはそれまでに自分が出会った人とは全然違いました。

韓国のチェジュ島で、仲良くなった乗客の女の子と現地のご飯を食べたのだそう。

最初はシャイな雰囲気だったその子が変化する様子を見てて、すごいなって思って。

D×Pスタッフ:何か考えさせられた出来事ってある?

さわちゃん:全日制の高校に通っていたから、定時制や通信制の高校生と関わる機会がそれまで無くて。ピースボードに乗った時に、初めて通信制の高校に通っている女の子に会ったんです。「めっちゃ普通の子やん。」って思って、話していくうちにどんどん仲良くなれたんです。

船内では講演会とかワークショップが開催されているんですが、その子は最初全然興味がなくって、ピースボートのスタッフさんが「なんで興味ないの?」って聞いた時も、「おもしろくないし。」って言ってたんです。でも、周りの人やわたしが「いっしょに行ってみよう。」って誘っていくうちに、その子自身が変わっていって。

D×Pスタッフ:どんな変化があったの?

さわちゃん:本人から「さわ!次、この人にしゃべりかけたいからいっしょに行こう。」って言ってくれるようになったんです。このクルーズの後、地元の人とイベントを開いたりもしてて。最初はシャイな雰囲気だったその子が変化する様子を見てて、気づかされることがたくさんありました。その子との出会いがすごく大きかったです。ピースボートって、船の雰囲気がすごくいいんです。フレンドリーな人が多くって、親身になって話を聞いてくれる。それがよかったのかもしれないですね。

親としゃべれるようになった。すぐにってわけじゃなかったけど、徐々に。

D×Pスタッフ:クルーズに参加した後、さわちゃんが新たに心がけるようになったことはある?

さわちゃん:身近な人を大切にすることかなぁ。小さいころから親としゃべる機会があんまりなくって、反抗してたときも結構あって。でも、ピースボートに乗っていた人は身近な人をすごく大切にしてたんです。一回の出会いもすごく大切にしていて、そんな人たちの姿を見て感じることがすごくあったから。それにユナイテッド・アースの人が、わたしと親の関係が良くなかった時の話を聞いてくれて、いろいろとアドバイスをくれました。それで親としゃべれるようになった。すぐにってわけじゃなかったけど、徐々に。

D×Pスタッフ:今は家族の人と仲よくできてる?

さわちゃん:フィリピンにいるから会えないけど、LINEとかSNSとかは通じてて。以前フィリピンに行った時は2週間まるまる連絡しないこともあったけど、今は毎日家族に連絡したりしてます。

「復興支援」とか「平和維持活動」とか嫌だったんです。

D×Pスタッフ:クルーズの後に新しく始めたことはある?

さわちゃん:ユナイテッド・アースの活動ですね。それまでは「復興支援」とか「平和推進活動」とか嫌だったんです。復興支援が嫌だったのは、現地の被災されている人から「分からんくせに。」って批判的な言葉を浴びると思っていたから。でもユナイテッド・アースの人が「そんなふうに現地の人思わへんよ。」って言ってくれて、実際に現地に連れて行ってくれました。

平和推進活動のことも全然知らなかったんです。そんなわたしをスタッフが広島まで連れて行ってくれて、そこで起こったことを全部説明してくれました。今まで偏見のあったことに対して視野を広げてくれた。

日本に帰国するたびに、オフィスに寄ったり、活動に参加したり。最近は西日本豪雨ですね。わたしはセブにいて現地に行くことはできないので、ユナイテッドアースに寄付をしました。できることをどんどんやっていきたいなって。

2017年の九州北部豪雨で被害に遭った農家さんのお手伝い。イチジクをもらって休憩しています。

日本人とフィリピンの人がもっと関わったらいいのにって思ってたんですよ。

D×Pスタッフ:さわちゃんはこれからしたいこととかある?

さわちゃん:高校の時にフィリピンに行って、貧困地域を訪問してるNGOに参加したんですけど、日本人ばっかりで、現地の人が全然関わってなかったんです。そのことにわたしはすごく疑問を感じて。

D×Pスタッフ:どういうこと?

さわちゃん:日本が貧困地域の人たちに何か与えたり、支援することが当たり前になっていることが疑問だったんです。あとフィリピンはこれから日本と同じような道を歩んでいくだろうから、日本の過ちを繰り返さないためにも日本とフィリピンの人がもっと関わったらいいのにと思っていて。だからわたしは関われる場をつくりたいんです。

ちょうど今『Kokokara未来会議』っていう、日本とフィリピンの学生が一緒になって社会問題の解決をめざすプログラムに参加していて。これが日本とフィリピンの人が関わるということの一歩になったらいいなと思ってます。「医者になりたい。」とか「学校の先生になってみたいな。」とかそういう夢じゃないけど。一旦セブで頑張ってみたいなって。

Kokokara未来会議のアドバイザーであるフィリピン大学の教授に感謝状を渡しました。

偶然によるものなのか必然によるものなのか、そんなことは分からないけれど、人との”めぐりあい”はわたしたちの世界を広げてくれるのかもしれません。

そしてその体験は、いつかきっと、わたしたちのチカラになる。

もしかしたら、わたしが明日会うことになる誰かは、さわちゃんが”めぐりあった”人のように、わたしを新しい場所に導いてくれる人かもしれないし、今までに会ったことのある人とは一味違う人かもしれない。あるいは気づきや自分にはなかった考えを与えてくれる人かもしれない。

こう考えると、「これから”めぐりあう”だろうたくさんの人がどうわたしの世界を広げてくれるのかな。」と心がはずみます。

そして「日本とフィリピンの人たちが”めぐりあい”が、フィリピンの問題を解決するチカラになればいいな。」

そんなことを、そっと。頼もしいさわちゃんの姿に思いました。

インタビュー/文責:伊森香南(当時D×P広報インターン)


Share

Top