D×Pタイムズ
D×Pと社会を『かけ合わせる』ニュース
D×P×10代

「人と関わることをやめる」のをやめるー声優をめざす、JKうっしーインタビュー

「また、会えて嬉しい!」そんな挨拶から始まった今回のインタビュー。

暖かな春の訪れを感じる3月末日。昨年の12月に行なったクレッシェンドで出会った高校生、うっしーがD×Pの事務所に遊びに来てくれました。

クレッシェンドで出会う高校生ともう一度会えることは、実はほとんどありません。1年後、またクレッシェンドが開催されれば、会えることもあるのだけど。それでも1年後。

だから、クレッシェンドの「その後」の話ができるのが、とても楽しみでした。

クレッシェンドとは? 
通信・定時制高校で行っているD×Pの独自プログラム。高校生とD×Pのボランティア「コンポーザー」が対話する全4回の授業です。ひとりひとりに寄り添いながら関係性を築き、人と関わってよかったと思える経験をつくります。4回の継続した授業のなかで次第に人とのつながりを得て可能性が拡がるように、音楽用語でだんだん強くという意味のクレッシェンドと名付けています。

「ユメは声優になること!」と話していたうっしーは、いまどんどんユメに向かって突き進んでいます。「ネガティブ思考だし、自分から行動するタイプじゃなかった」と話す彼女に、今の気持ちを聞いてみました。

(画面左:うっしー。 「一緒に撮ろうー!」と誘われうっしーと、女子高生に人気の写真アプリ “SNOW”で撮影。)

何やる授業かわからんけど、「イケメンがいるって聞いたから。」(笑)

D×Pスタッフ:うっしーは1年生と2年生のときにDxPのプログラム「クレッシェンド」を受けてくれたんだよね。

うっしー:1年生のときは、ズル休み…でしたね(笑)。友達から「面白いし、イケメンもおるで」って聞いて、最終日だけ行ってみました(笑)。

D×Pスタッフ:理由がイケメンなんだね(笑)。今年は、イケメンおった?

うっしー:え、今年…面白い人はいっぱいおった!イケメンは、残念ながらいませんでした…(笑)。でも、よく喋ってたお兄さんはお気に入りですね。また来てほしい!

クレッシェンドに参加するのは、コンポーザーというボランティア。ワークをしながらお互いのことを少しずつ知っていきます。

D×Pスタッフ:コンポーザー(D×Pの授業「クレッシェンド」に関わる社会人・大学生ボランティア)が話していたことのなかで、共感したことはあった?

うっしー:コンポーザーさんから中学校時代にいじめを受けていたって話を聞いて「ああ、私もそういうことあったな」っていうのは思いました。中学の頃の友達の遊びかな?でも、私はそれが嫌で。その時、嫌なことを「嫌だ」ってあんまり言えなかったんですよ。それでだんだんエスカレートして。「これ、もう遊びちゃうやん」って思って、学校行くのが嫌になりました。もう、サボっちゃえって。だから、中学はあんまり行ってないですね。

D×Pスタッフ:そうだったんだね、高校に入ってみてどう?

うっしー:面白い人もいっぱいいるし。今は、めっちゃ仲良しのなんでも話せる友達もいます!

友達気分で話してくれてたり、同世代みたい。

D×Pスタッフ:一緒のグループだったコンポーザーってどんな人だった?

うっしー:子どもがそのまま大人になった感じ!あと、私が「こういうふうに応援して欲しいな」って思っていたことをそのまま言ってくれて嬉しかった。「辛いこともあると思うけど、うっしーならやれる、がんばれ。」って。友達気分で話してくれる。同世代みたい!

D×Pスタッフ:応援してもらえるの、めっちゃ嬉しいね。普段、家族以外の大人と話すことってある?

うっしー:ありますね、バイト先の40代とか50代が多いんですけど。お子さんの話を聞いたり、あとは芸能人の話とか。大人の人から話してくれるんですが、私あんまりニュースとか見なくて話には全然入れないので。「ふーん」って頷いてますね。

D×Pスタッフ:コンポーザーと話していたときは…?

うっしー:自分から、ぐいぐいいきましたね。自分の今気にいっているものの話とか、これからやりたいこととか。そういう話をするのがすっごい楽しくて!こんな大人もおるんやって思いましたね。

すごろくトークは、止まったマスに書かれている質問に答えるワーク。自己紹介しつつミニゲームで競います。

のりさんのこと、私すっごい怪しんでましたね。

D×Pスタッフ:「ライブラボ(D×Pが当時行っていた学校の中の進路相談室)」にも行っているんだよね?のりさんとの出会いはいつ?

うっしー:のりさんが、2年生全員の前で話す授業があったんです。その時は、すっごい怪しんでましたね。

D×Pスタッフ:そんな、のりさんに進路のことを相談してみようと思ったのはどうして? 

うっしー:先生がきっかけで。のりさんの講演が終わった後、「進路相談室をあけるよ」って教えてくれました。半信半疑だったけど行きました。

D×Pスタッフ:めっちゃ怪しんでる(笑)。どんな話したの?

うっしー:「どんなこと、やりたいの?」って話から始まって、私が「声優になりたい」って言って。ラジオパーソナリティーにも興味があるって言ったら、スタッフのさっちんが『Voicy』っていうネットラジオやっているよって教えてくれたりして。

D×Pスタッフ:そういえば、ラジオの収録現場も行ったりしたんだよね?

うっしー:行きました!のりさんのかばん持ちとして。普段、一般人は入れないじゃないですか。だから行ってみたいなって思って。

D×Pスタッフ:ラジオの収録を見るのは初めてだったんだよね?どうだった?

うっしー:暑かった!放送中はトイレいきたいのに行けへん…ってなったり(笑)。あと、みんなトーク術がすごくて、ひとつ話題を投げたら、わーって盛り上がったりして。すごいなあって思いました。

D×Pスタッフ:ちなみに、うっしーってラジオは普段も聴くの?

うっしー:あんまり聞かない…(笑)。なので、ラジオ局に行く前に、YouTubeで調べました!

顔を出すのを恥ずかしがっていたころのうっしー(左)と今井

「やろう!」と思った時の私は、高いハードルに挑戦することを楽しいと思ってて。

D×Pスタッフ:うっしーもネットラジオ始めたんだよね。『JKうっしーのマンデーアニラジオ』聴いたよ!第一回目は、アンパンマンについて話していたよね。

うっしー:そうなんです。あれは、友達が「最初は知名度が低いのよりは、知名度が高いアニメの方がいいんじゃない?」って、アドバイスをくれて。「知名度が高い」をうーんって考えてたら、目の前にアンパンマンがあったんですよ。それで、アンパンマンにしました(笑)。でも、最初だから「どうやって紹介しよう?」って思って…Wikipediaに頼って、めっちゃ調べました(笑)。

JKうっしーのマンデーアニラジオ。インターネットラジオです。Radiotalkというアプリで聞くことができます。

D×Pスタッフ:そんな裏側があったんだね。私、クレッシェンドで「声優なりたい」ってうっしーから聞いてたから、うっしーのラジオ番組を聞いてめっちゃ嬉しくて!初めてなのに「めっちゃ、クオリティ高い!」って事務所でも盛り上がってたよ。

うっしー:よかったですか!?私としては、一回目は棒読みになっちゃったなと思っていました。最近は、テーマを決めて、自由に喋るようにしたんです。そしたら、あんまり噛まへんし、面白いしテンションもあがるし。のりさんからも「原稿を書いて見て喋るのはやめたほうがいいよ」って言われたんです。

D×Pスタッフ:ラジオを始めるときは、ハードル高くなかったの?

うっしー:最初はすごく高かったんですけど…でも、「やろう」と思った時の私は、高いハードルに挑戦することを楽しいって思ってて。

D×Pスタッフ:そうなんだ〜!その後、polca(ポルカ:クラウドファンディングサービス)で声優の養成学校に通う資金も集めてみたんだよね。

うっしー:完全にノリで始めましたね(笑)。私、前まではあんまり行動する派じゃなかったんですよ。でも、ラジオに挑戦してみたら、polcaもやってみたいなって思って。即行動しましたね。

polcaは、クラウドファンディングサイトを運営する(株)CAMPFIREが提供する少額から資金を集めるファンディングアプリ。Twitterでシェアすることにより知らない人にも応援してもらえたのだそうです。

D×Pスタッフ:目標金額達成してみてどんな気持ち?

うっしー:うーん…なんやろうなあ…達成して、嬉しいんだけど。「これ、現実かな?」って。いま、半信半疑です。

D×Pスタッフ:現実だよ!応援してもらえることが嬉しいのかな?

うっしー:それも嬉しいし、「達成した」ってことも嬉しい。『Radiotalk』も知らない人から聞いたよーって言ってもらえたときは、聞いてくれている人がいるっていうのがすごく嬉しくて。これからも続けていこうかなって、調子に乗りましたね(笑)。

「声優」っていう職業があるかもわからへんかったし、「機械かな?」って思ってた。

D×Pスタッフ:声優にはいつからなりたいと思ってたの?

うっしー:中学2年の頃です。FAIRY TAILってアニメが好きで。そのアニメの最終回がきて、名残惜しいなって思っていろいろ調べてみたんです。 その時に、YouTubeで声優さんの記者会見の動画を見て。「こんな人たちおるんや。楽しそうやな」って思いました。そこからどんどん声優にはまりだして、なりたいと思うようになりましたね。でも中学3年の最後らへんに、「声優は無理なんかな、似合ってないんかな。」て思って。トーク術ないし、滑舌も悪いし、声もあんまりよくないし…とかネガティブに考えていました。高校生になってからは高校生活が楽しくてその時は声優になりたいことも忘れてたんですが、漫画とか声優の動画とか見ていたら「やっぱり、声優になりたいな」って。

D×Pスタッフ:記者会見の動画を見たのが、声優という仕事を知るきっかけだったんだね。

うっしー:私、「声優」っていう職業があるかもわからへんかったし、「機械かな?」って思ってたんですよ。機械が人間の声が出せるんだ、すごいなあ…みたいな(笑)。その時、「あ、人や!」って初めて気づいて(笑)。

音声メディアVoicyの配信者「あやにー」さんの収録に参加するうっしー

やりたいことを「やりたい」って言って、もし否定されたら悲しいじゃないですか。

うっしー:いそちゃん(このインタビューの聞き手)は、なんでD×Pに入ったんですか?

D×Pスタッフ:おおー私が質問された!(笑)私は、専門学校を出てて

うっしー:なんの!?

D×Pスタッフ:ファッションだよ〜!私も中学校ぐらいのときからファッション系の専門学校行きたいって思うようになって。中学が楽しくなくって、部活内ではあちこちで嫌がらせとかいろいろあって。途中から幽霊部員やし(笑)

うっしー:私も幽霊部員!(笑)

D×Pスタッフ:だから、休日に自分が好きな服を着ることで自信が持てたり、気分が変わるっていうのが楽しくって。卒業して、デザイナーとして働いてて、でもしんどくなってやめて。そのあと、母校の専門学校でバイトを始めたの。「うちの専門学校に来ませんか?」と案内するアルバイトで、高校の進路ガイダンスに行って、いろんな高校生と出会うようになったんだよね。 専門学校の説明聞きに来る子の中には、「アパレルやデザイナーに興味や憧れはあるけど、自分にはできそうにない」とか「親に反対されるから、大学に行こうかなって思っていて…。」って話す子がいて…

うっしー:え、なんで反対されるんですか?

D×Pスタッフ:その子は、「ファッションとかそういう不安定な職業につかずに、安定してる仕事を目指して!」って親に反対されるって言ってたかな…。

うっしー:へ〜そんな子もいるんですね。

D×Pスタッフ:そうなの。でも「なんで、やりたいことはあるのに『やりたい!』って言われへんような状況なのかな…?」って思ってモヤモヤしてたんだよね…

うっしー:あの、私の考えなんですけど、やりたいことを「やりたい」って言ってもし否定されたら悲しいじゃないですか。親とかに否定されたら特に。だから、言えへん子がいると思うんです。

D×Pスタッフ:そうなんだよね。だから、否定せずに応援してくれる人が身近にいるといいよなあって思って。それで、「高校生・支援」とかでインターネット検索して、見つけたのがD×P。

うっしー:それで、D×Pに辿りついたんですね(笑)。私の親は、否定はしなかったんですけど…一回だけ「あんたは無理」って言われたことがありました。お金もあんまりないし、声優の養成所に通うお金とかどうやって集めんのよって言われて。でも、D×Pの話とかお母さんにしてみて。今polcaってアプリでお金集めているねんって言ったら、応援してくれるようになりましたね。

中学のときは、ひたすら生きていこうって思ってたんですけど。

D×Pスタッフ:今までいろんな大人に出会ったと思うけど、うっしーはどんな大人になりたいとか、どんなふうに生きていきたいとかある? 

うっしー:んー…面白くて、年齢問わず、みんなと仲良くしたい!あと、「(わたしは)怪しくないで!」って言いたい!

D×Pスタッフ:え?そんなに大人って怪しい!?(笑)

うっしー:最近って、不審者とか多いじゃないですか。「だから怪しくないで、おいで!」って言えるような大人になりたい。中学のときは、ひたすら生きていこうって思ってたんですけど。こんなに… 人って変わるんですね(笑)。気持ちが変わって。なんか…「人と関わることをやめる」のをやめて、もっと人と関わってみようと思いました。苦手な相手でも一回喋ってみたら、「この人はこういうところがあるんだなぁ」とか「おもしろいなぁ」て思ったり、だんだん信用できるようになるから。

D×Pスタッフ:のりさんも最初はめちゃくちゃ怪しんでたんだもんね(笑)。 

うっしー:最初は、疑いしかなかったです!(笑)昔は、こんな感じで(シャッター閉めるしぐさ)人を遮断してたんです。今は、シャッター上げて自分から「おはよう!!」みたいな感じになりました(笑)。あと、自分のやりたいこと見つけたから。それに、一直線ですね。

うっしー、インタビューありがとうございました!

インタビュー/文責:磯みずほ(当時D×P広報インターン)


Share

Top