LINE株式会社の個人情報の取り扱い報道を受けてのお知らせと、自治体・事業者の皆様へのお願い

2021年3月17日のオンラインチャットツール「LINE」の個人情報の取り扱いの報道につきまして、お知らせです。

LINE株式会社は、LINEに対する外部からの不正アクセスや情報漏えいが発生したということはないと公表しています。また、当団体のLINE公式アカウントにつきましては、報道にあるような委託先への送信はなく、中国からの閲覧はないことを同社・およびパートナー企業より報告を受けています。※当団体はLINE社のMessaging APIを使って、国内パートナー企業のサービスを経由してLINE相談を実施しています。

もちろん情報の管理体制としての懸念はございますので、よりいっそう同社への管理体制の強化を求めてまいります。しかし、いまは相談者ひとりひとりの生活の支えとなることを優先すべきと考え、認定NPO法人D×P(ディーピー)ではLINE相談事業「ユキサキチャット」をこれまでどおり運営いたします。

行政・自治体・事業者様へ
LINEを使った相談事業の即刻中止はいま一度お考え直しください

今回の報道を受けまして、LINEを使った相談事業を即刻中止する自治体・事業所が出ております。具体的な漏えいが起きていない状況で即刻一時停止してしまうことは、いささか過剰な意思決定ではないかと考えております。

コロナ禍のなか、ひとりひとりの相談者の心の支えとなっていたLINEを通じた相談事業そのものを閉じてしまうのは、孤立しやすい相談者の「最後の支え」を閉ざすことにもつながりかねません。

厚生労働省、ならびに、各自治体の皆様は、そのLINE相談がユーザーの日々の生活・健康・心を守っていることを踏まえて、即刻の停止をいま一度お考え直しください。また、別の相談プラットフォームに切り替えてからの停止対応とするなど、ご配慮いただけますと幸いです。

【LINE株式会社が公表している内容を整理すると…】
●ふだんやりとりするLINEのトーク内容や画像などのデータがすべて中国で閲覧できるようになっていたわけではないと発表されています。データは暗号化されてやりとりされるため(E2EE暗号化方式)、犯罪捜査等をのぞき、基本的には送信した人と、送信された人以外が暗号を展開することはできません。

●メッセージのうち、スパムやわいせつな画像の送信などの迷惑行為に対する「通報」が行われた場合に、通報された情報のモニタリングが実施されます。この「通報」されたメッセージが、今回中国で閲覧できるようになっている状態だったということです。また、日本の個人情報保護法では、海外の拠点で個人情報を取り扱う場合はユーザーの同意を得るよう定めていますが、その同意を得るプロセスがない状態でした。

●ただし、国内の「LINE公式アカウント」に関わる機能開発・モニタリング・通報対応は中国で行なわれておらず、中国(NAVER China)から国内の「LINE公式アカウント」のデータへのアクセス権限はなかったと発表されています。また、LINEのMessaging APIを使ってパートナー企業のシステムを使う場合、データの保存先は異なります。

●上記を受けて、LINE株式会社は、
・中国(委託先)からのアクセスを遮断
・韓国等外国サーバーに保存されていた画像・動画データ等を国内に移転予定
・外国にある第三者への提供について具体的に言及していなかったプライバシーポリシーを改訂予定
という対応方針を明らかにしています。

※詳しくは以下の同社発表内容・記者会見(ノーカット版)をご参照ください。
https://linecorp.com/ja/pr/news/ja/2021/3675
https://www.youtube.com/watch?v=CZ4mYJabNG8

もちろん、同社がユーザーに対しての説明責任に欠けていたことは大きな課題であり、いち利用者(法人)として今回の件は非常に残念です。LINE株式会社にはよりいっそうの管理体制の強化、説明責任の遂行を求めてまいります。しかし、現時点ではトーク内容が見られていたり、個人情報の流出や不正アクセスは発生していないと発表されています。

厚生労働省・各自治体・NPOなどのLINE相談の事業者様へ、あらためまして、コロナ禍のなかひとりひとりの生活の支えとなっているLINE相談窓口を早急に閉じず、いま一度お考え直しください。早急に窓口を閉ざすことは、孤立しやすい相談者の「最後の支え」を閉ざすことにもつながりかねません。この1年で子どもや女性の自殺者数も増えており、わたしたちで食い止めていく必要があります。

わたくしどもは公的な予算を受けず寄付でLINE相談を実施しているNPOですが、わたしたちだけではさまざまな相談を受け切ることは不可能です。さまざまな相談窓口があるからこそ、成立しています。これまで日々つくりあげたセーフティネットを崩さず、ひとりひとりを孤立させないよう、ともに力を尽くしていけましたら幸いです。

参考)
渋谷区では公式LINEアカウントを継続利用するお知らせを出しています。

2021年3月25日
認定NPO法人D×P(ディーピー)

D×Pとは?

認定NPO法人D×P(ディーピー)は、不登校・中退・経済的困難など、さまざまな境遇にある10代の孤立を解決するNPO。学校とLINE相談で10代と出会い、困った時に頼れる人とのつながりをつくります。定時制高校では、高校生と社会人が対話する授業や校内居場所事業を実施。LINE相談事業「ユキサキチャット」は全国から相談を受け付けています。コロナ禍で困窮する10代へ食糧支援・現金給付を実施しています。

2021年3月25日現在、新生活を送る若者に向けて食糧支援と現金給付を行なうプロジェクトをスタートさせています。ユキサキチャットには、進学・働き先がきまったけどお金のことや生活のことなどいろいろ心配で「やっぱり、進学やめようかな」「せっかく働き先がきまったのにそれまでのお金がギリギリ…」という相談も寄せられています。 #親に頼れず新生活をはじめる人に届け のハッシュタグをつけて、ぜひこちらの記事をシェアしてください!

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