「自分以外に適切な判断ができる人がいることがよかった」思いがけない妊娠。生活を支えた食糧支援
ユキサキチャットから食糧を届ける、めぐみさん(23歳・仮名)。18歳の頃に家を出てから、1人で生計を立ててきました。
2021年冬にD×Pの現金給付の記事を見て、ユキサキチャットに登録していたそうです。当時は、緊急事態宣言が繰り返し出されていて、働いていたお店は休業も多かったといいます。お金の不安は抱えていたものの、自分でやりくりして生計をたて現金給付は受け取らずに過ごしました。
正直…なんかもう、流産でもしてほしいとか思っちゃったり
翌年の夏に、元パートナーとの妊娠が発覚します。もともと、気圧の変化で吐いてしまうなどの体調の波があっためぐみさんは、妊娠に気づくのが遅れてしまったそうです。気がついたときには「産む」という選択肢しかありませんでした。
「ちょうど23週とかに気づいて。どうしたらいいかわかんないから、正直…なんかもう、流産でもしてほしいとか思っちゃったりとかもあったし。ずっと泣いてましたね。不安しかなくて。」
※母体保護法により、22週以降の人工妊娠中絶手術は法律で禁止されています。
「妊娠して働けなくて、生活がちょっときつくて。それに、コロナの影響とかで求人自体が結構減っちゃってて。妊娠中でも働けるみたいな求人もなかなかなくてって感じで、(ユキサキチャット)に相談しました。」
元パートナーと別れた理由も暴力ぎみで、モラハラ気質な彼と一緒にいられないと感じたから。「頼りにならなかったし、絶対に一緒に生活したくなかったんです」
母は、過保護で過干渉気味で、厳しくて。
めぐみさんは、18歳のときに東京に移り住みました。最初の半年ほどは友だちの家に住んでいて、家出同然でした。
「母は、過保護で過干渉気味で、厳しくて。最近よく、毒親とかいうじゃないですか、あれの典型的な感じ。中高生ぐらいから気づき始めるじゃないですか、ちょっとうちって違うな?とかそういう。そこからしんどくなっちゃって。カッとなりすぎると、部屋を荒らされたりとか、包丁を向けられそうになったりとか。一緒に住むのはよくないなと思って。距離を置いた方が変わることもあると思うんですよね。」
その後、めぐみさんは大学進学を機に実家を離れることに。
「大学には進学したんですが、ちょっと鬱っぽくなっちゃって。その、退学届も勝手に出されちゃったんですけど、親に。自分で休学費用を出して休学してたんですが、その間に勝手に出されちゃって。それで実家に戻されて。1週間ぐらいで私が無理になっちゃったんです。家を出て、そっからずっとこっちなんです。」
実家を出て東京にでてきたのは、知り合いが多かったから。「やっぱ頼れるところがあると全然違うので。」
ゼリー系のものとか多めに送ってもらって。
妊娠に気づいためぐみさんから、ユキサキチャットにメッセージが届きました。状況を聞き、すぐにごはんを送りました。
「(ごはんは、)だいぶ、助かりました。途中からやっぱ体も重くなってくるし。買い物とかにもいけなくなってきて、ひどいときはつわりも。それこそ、いまコロナかかったら大変だしって思って。途中からお願いして、ゼリー系のものとか多めに送ってもらって。固形のものを食べれなくなってたりとか、切迫(早産)ぎみだったので、立って家事とかもできない状態のときもあって。ぱっと食べれるゼリー系のものを送っていただいてました。」
※切迫早産
予定日より早く赤ちゃんが生まれそうな状態。週数が早ければ早いほど、赤ちゃんに後遺症が残る・死亡する確率が高くなります。早く生まれないように医師から安静を求められます。
自分では判断が難しいこととか、やっぱ聞いて欲しいなって思います
出産を終えためぐみさんは、赤ちゃんと暮らすための環境を整えている最中。もともとは養子に出すことを考えていたそうです。
「お迎えの支度もできていなかったから、妊娠中から関わっていたソーシャルワーカーさんと話して、いまは乳児院で預かってもらっています。その間に仕事を決めたりして。」
ソーシャルワーカーとは、めぐみさん自身が相談できる場所を探してつながりました。
「妊娠がわかって、すぐ。1・2週間以内には相談していましたね。電話で相談できるところとかを聞いて、地域の保健師さんにまず相談してみたらいいって言われて、電話かけてって感じです。行政の方や保健師さんに相談して、地域の妊娠SOSの方を紹介していただいて。受け入れてくれそうな病院を教えていただいて、病院の手配してって感じでしたね。」
さまざまな場所に自分で相談してつながっていっためぐみさん。「ユキサキチャットやいろんな相談の場を頼ってよかったと思うことはありますか?」と尋ねてみました。
「お話聞いていただけるだけでもありがたかったです。養子に出すってなったら周りにも言えないから隠してたんで。ちょっと聞いてもらっただけでも軽くはなりました。金銭面とかそういう話って、身近な友達の方が相談しづらいと思うんですよ。やっぱ、どう思われるかな?とかそういうのもあるだろうし。周りは結局、同じくらいの年の人しかいないから自分より大人に聞いて欲しいなみたいなのもあると思う。社会的に20歳を超えたら大人と言われることもあるけど、まだまだ考え方とか子どもな部分もあるから。
相談できる大人は、割と多かったんですけど、深い話とか今回の件とかは相談できる人は全然いなかったんです。自分では判断が難しいこととか、やっぱ聞いて欲しいなって思います。そういう点で、ありがたいなと思いました。」
いろいろヒアリングしてもらって、相談できる場所とかに繋いでもらえたりとか、わからないことを教えてくれるのが一番嬉しい
妊娠・出産の不安を抱える声はユキサキチャットにも届きます。どんなサポートがあるといいのでしょうか。
「私はメンタルがわりと強い方なので、あんまり参考にならないかもしれないですが…(笑)。適切な場所に繋いでくれるというか。
やっぱ、どうしたらいいかもわかんないし。実際、私も妊娠してから知ったことも多かったんです。いろいろヒアリングしてもらって、相談できる場所とかに繋いでもらえたりとか、わからないことを教えてくれるのが一番嬉しいかなと思いますね。
『大丈夫だよ』とか『どうにかなるよ』とか言われても、本当にどうにかなるかは、不安だし、わかんないし。
あの不安な時にどうしたらいいとかを教えてくれる人が周りにいたらなって。私はもう、片っ端からいろんなとこに電話かけまくって、調べまくって。たまたま本当にうまく繋がっただけだったんですよね。自分以外に適切な判断ができる人がいることがよかったなと思います。」