カオハガンに来て楽になった。義務感のなかで生きてきたけど、それは必要ない感情だったのかな-フィリピンスタディーツアー参加者インタビュー
株式会社ココウェルとNPO法人D×Pが協働で主催しているココファンドプロジェクトにて、2015年春のフィリピンでのスタディーツアーに挑戦したい通信制・定時制の高校生を募集しました。
ココファンドプロジェクトとは?
ココファンドは、生きづらさを抱えた日本に住む10代が、フィリピンの貧困を知るスタディーツアーに参加するための基金です。ココファンド対象リップ1本をご購入いただくごとに、100円がココファンドに寄付されるという仕組みです。
今回は、そのフィリピンスタディーツアーに参加した、市立札幌大通(おおどおり)高校定時制課程の相馬希恵(そうま かなえ)さんにお話を伺いました!
自分は学校に「行けるのに行けない」けれど、海外の子どもたちは「行きたくても行けない」。
D×Pスタッフ:市立札幌大通高校(定時制)にはいつ入学しましたか?
相馬さん:中学を卒業してすぐ、高校1年生から札幌大通高校に通っています。私はずっと中学校に行っていなかったので、自分のペースで時間割を組める大通高校を選びました。中学校に行けなくなったのは、自律神経失調症になってしまったのがきっかけでした。今では笑い話として話せるのですが、家の状態が良くなくて居場所がないと感じていて、学校では友達と話が合わないことが多くて、だんだん学校に行けなくなっていきました。
D×Pスタッフ:大通高校に入学してみて、最初は大変でしたか?
相馬さん:大通高校に入った当初は毎日学校に行かなきゃというプレッシャーがあって、最初は苦しかった。でも、大通高校に来た子はいろいろな事情を持っている子がたくさんいたから、みんな優しくて、守られている感覚がありました。午前部に通っていたのですが、昼休みに友だちと話すのが楽しかったです。
D×Pスタッフ:アルバイトなど、学校以外のこともしていましたか?
相馬さん:バイトは高校1年生の6月から始めました。とにかく生活にかかるお金を自分で払わなければいけなかったので。そこで2年半働きました。週4回、2年生の後半まで働いて、2年の後半からは受験勉強を始めたので週2回、土日に働きながら受験勉強をしました。
D×Pスタッフ:頑張ったんですね。海外に興味を持ち始めたのはいつからですか?
相馬さん:海外に興味を持ち始めたのは、葉田甲太さんの本を中学校3年生のときに読んだことがきっかけです。海外には学校に行けない子たちがいる。自分は「学校に行けるのに行けない」けれど、海外の子どもたちは「行きたくても行けない」。その状況でどんな風に暮らしているのか、自分の目で見て考えたい。それから海外に興味を持つようになりました。高校生になったらアルバイトでお金をためて行こうと決めました。それでお金を貯めて、高校2年生の春休みにカンボジアのスタディーツアーに行きました。カンボジアでは地雷博物館や孤児院、NPO法人かものはしプロジェクトさんが運営するファクトリーとかにも訪問させていただきました。そこで自分の中での途上国に対するイメージが変わりました。人身売買など経験して表情が暗いカンボジアの人たちが働いているのかな、と思ってたら全然違うんですよ。私がファクトリーに訪問した時に笑顔で接してくれて、それを見たときに心の豊かさを感じました。そのときに、幸せってお金ではなくて心の豊かさにあるんだな、と気づきました。
勉強できないとか、いつも義務感ばかりで、いろいろと悩むこともあったんだけど、それが楽になったのは大きかった。
D×Pスタッフ:なぜココファンドプロジェクトのフィリピンのスタディーツアーに応募してみようと思ったんですか?
相馬さん:週2日のアルバイトだとどうしてもお金を貯めることができなかったけど、「無料だったら自分でも今チャレンジできる」と思って応募してみました。あと、「持続可能な島」というテーマのスタディーツアーで、持続可能性にも興味を持っていたので行きたいなと思いました。 行く前にNPO法人D×Pの入谷さんから「(カオハガンには)カンボジアとは違う豊かさがあるんじゃないかと思います。」と言われたんですが、本当にその通りで、豊かな自然に感謝する気持ち、自然のありがたみ、自然と共生するという豊かさを人々の生活から実感しました。私達が滞在したカオハガン島は島民の所得は低いけれど、貧困はないように感じました。人々が安全に暮らしている姿を見て、自然の豊かさがあって人々が助けあっているからこそ、トラブルが起きにくいんだろうなと思いました。
D×Pスタッフ:今回のスタディーツアーは大学生が中心に参加していたようですが、彼らとの交流はどうでしたか?
相馬さん:普段関わらない年代の人たちでした。色んなテーマで大学生の人たちと話したんですけど、自分と違う視点を持っている人もたくさんいて、自分が正しいと思った答えが全てだと決めつけず、視野を広く持たなければいけないんだな、と思ったりしました。あと、夜にみんなで浜辺で星を見ながら話したのも楽しかったです。普段自分が人に話さないようなことも話せてました。
私は「集団の中での生きづらさ」を感じていたんですが、その話をしたら、「”自分”を持っているというのは良いことだし、”自分”を持たないで集団の中にいるよりは絶対にいいよ」と言ってもらえました。それはとても嬉しかったですね。 カオハガンは愛にあふれているような島でした。絶対にまた行きたいです。日本ではひとりぼっちだなと感じるときもあるけれど、島には顔と顔を合わせられる環境がありました。一日ホームステイさせてもらった家では、よその子どもも自由に出入りできるようになっていたんですが、いつでも誰かと顔を合わせられる環境、それがすごくよいなと思いました。
あと豊かな自然があると、「ぼーっとしている時間も意義のある時間である」ということを学びました。家の中でぼーっとしていると、何か自分を見失っていく気がして、どんどん悪い方向に考えていってしまう。だけど、カオハガンの自然の中にいると自分のことを見つめなおす時間になったのが大きかったです。自分はこれまで、義務感で生きてきましたし、完璧主義みたいな部分がありました。自分で義務的に立てた目標とかを達成できなかったりすると、自己嫌悪になって具合が悪くなることもありました。 でもカオハガンに来て、それは必要のない感情だったのかなということに気がつきました。「ぼーっと過ごしていてもいいじゃん!」ということに気がついて、日本でもきっとそういう風に過ごしていいんだと思うようになりました。だから、帰ってきてすごく楽になったんです。「もっと勉強して成績上げないと」とか、いつも義務感ばかりでいろいろと悩んでいたけれど、それが楽になったのは大きかったと私は思います。
出会いが一番っていうことかな。現地の人とも、同じ参加者とも。
D×Pスタッフ:後輩の高校生に伝えたいことはありますか?
相馬さん:スタディーツアーでの出会いは今後の自分にとって大切なものになったと思います。一緒に参加したメンバーも旅が終わったらバラバラにはなっているけれど、日本全国にいる。普段考えないようなことも考えて、自分が考えたことをさらけ出して共有することができる人たちがいることって素敵なことだと思います。出会いが一番っていうことかな。現地の人とも、同じ参加者とも。ぜひ後輩にもスタディーツアーに参加してもらって、それを体感してもらいたいなと思います。
D×Pスタッフ:なるほど。相馬さんはこれから何をしていきたいと考えていますか?
相馬さん:大学に進学して、平和や開発のことを学びたいと思っています。人身売買の問題に興味があるので、NPO法人かものはしプロジェクトさんにインターンに挑戦してみたいです。
D×Pスタッフ:楽しみですね!今日は話を聞かせてくれてありがとうございました!
あなたも、10代の一歩を応援しませんか?
このフィリピンスタディツアーは、株式会社ココウェルとNPO法人D×P(ディーピー)が主催するココファンドプロジェクトにて高校生を送り出しています。
ココウェル代表の水井さんは、ご自身が学生時代にフィリピンの貧困問題を目の当たりにしたことが起業のきっかけとなっており、日本の若者にフィリピンの現状を実際に見てもらいたいという想いがありました。
その水井さんの想いと、D×Pのしんどさを抱えた高校生に挑戦の機会を提供したいという想いが一つになって生まれたのが、この、ココファンドプロジェクト。スタディツアーは、認定NPO法人アクセスのご協力により実現しています。
ココファンド対象リップクリーム1本をご購入いただくごとに、100円がココファンドに寄付されます。
あなたもココファンドリップを購入して、高校生の「一歩踏み出す勇気」を
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