スキンケアと若者支援が出会うとき|ドクターリセラの奥迫さんとD×P今井の対談
認定NPO法人D×P(ディーピー)は、多くの方々の寄付によって活動している寄付型のNPO法人です。
今回は、新たにご支援をいただくことになった、ドクターリセラ株式会社の常務取締役 奥迫協子さんと、D×P代表 今井紀明の対談企画をお届けします。「自分を取り戻すスキンケア」を掲げるドクターリセラと、「親や周囲に頼れない若者を支える」D×Pが、どのように出会い、どのような思いで寄付に至ったのか――その経緯と想いをお伝えします。
また、今回の記事の執筆には、株式会社ストーリーテラーズさんにご協力いただきました。

奥迫さんの心を動かしたD×Pとの出会い
今井:最初に奥迫さんとお会いしたのは、確か2024年の5月でしたね。小西敏仁さんが主催されている会でしたか。
奥迫:はい、そうでした。一般社団法人fanableの小西さんの会で、今井さんのお話を初めて伺いました。多くの方が社会問題に取り組まれていて、私もとても刺激を受けたんです。
今井:あの場では短い時間しかお話しできませんでしたが、その後9月に一般社団法人谷町ソーシャルの会で再会して、改めてD×Pの活動について聞いてくださったのを覚えています。
奥迫:新井和宏さん(eumo)を通じてご縁をいただいたときですね。実はその頃から、「親を頼れない若者を支える」という活動についてもっと知りたいと思っていたんです。
私も子どもの頃に父を亡くしていて、奨学金やバイトで学費をまかなっていました。大変ではありましたが、周囲の大人たちが支えてくれたおかげでいまの自分があります。
だからD×Pさんの取り組みは、私にとって他人事ではなく、まるで自分自身の問題のように感じていました。

今井:なるほど。ご自身のご経験が大きなきっかけになっていたんですね。D×Pとしては、若者に「大人を頼ってもいいんだ」と思ってもらいたいのですが、実際にはそれが難しい状況の子が多いですから…
奥迫:そうですね。そこが本当に難しい課題ですよね。どれだけ「大人を頼ってもいい」と言葉にしても、若者は問題をひとりで抱え込んでしまう。誰にも相談できず、どこに助けを求めればいいかわからないまま孤立し、最悪の場合は自ら命を絶つ選択をしてしまう子たちがいるのが現実です。
継続的に手を差し伸べ続けることの大切さを痛感しています。
スキンケアと「本来の自分を取り戻す」という想い
今井:少し話は変わりますが、改めて奥迫さんが常務取締役を務めるドクターリセラには、「リセラ(Re + Cella)」というブランド名に込められた想いがあると伺いました。もともとの意味は「再生」と「細胞」なんですよね。
奥迫:はい、「スキンケア」というと肌を美しくするとか、シミやしわを隠すものというイメージを持たれがちですが、私たちはあくまで「本来の力を引き出す」ことをめざしているんです。だからブランド名も、「再生」という言葉にこだわりました。
今井:D×Pも、若者が本来もっている自分を発揮できる環境をつくるために日々活動しています。このコンセプトは本当に素晴らしいと思いますし、まさに私たちの活動理念とも深く重なるところですね。若者の本来持っている可能性を引き出すという点で、お互いの取り組みにはとても強い共通点があると感じています。
悩みや困難を抱えていると、本来の力を発揮するのは難しくなります。自分の中にどんな可能性があるのかも見えづらくなり、持っている能力に気づけないことさえあるんです。
どう力を使えばいいのかわからなくなって、結局は本当の自分を表現できないままになってしまう。でも、若者たちには本当に大きな可能性が秘められています。ひとりひとりが自分の力を信じて踏み出す一歩が、必ず未来につながっていくと信じています。
奥迫:そこにD×Pさんとの共通点を感じたんです。どちらも「表面的に問題を覆い隠す」のではなく、元々持っている力を信じたいという思いですよね。私がD×Pさんに関わらせていただきたいと思ったのも、そういった理念に強く惹かれたからです。

現場で感じた「本当に必要なもの」の届け方
今井:少し話は変わりますが、奥迫さんには以前、実際にD×Pの食糧支援の拠点を見学していただきましたよね。そして後日、社員さんも一緒に食糧発送作業のボランティアもしていただきました。
支援してくださる企業の方々に若者を取り巻く現状や私たちの活動の現場を直接見て、感じていただくことはとても大切だと考えています。言葉だけでなく実際の支援の様子を目の当たりにすることで、若者たちが直面している課題をより深く理解していただけると思うのです。実際に見学されたときの印象はいかがでしたか?
奥迫:正直に言うと、すごく驚きました。D×Pさんの支援は、単なる『物資の提供』ではなく、ひとりひとりの状況に寄り添った、きめ細やかな支援になっていたからです。
食糧倉庫にはさまざまな食品や生活用品が揃っていて、それぞれのお子さんの状況に応じて丁寧に仕分けされていました。アレルギーへの配慮はもちろん、食の好みまで考えられている。さらには生理用品やシャンプー、ボディソープといった生活必需品まで、本当に必要なものが全て用意されていましたよね。
ただ食べ物を届けるだけではなく、『その子がいま、本当に必要としているもの』をひとりひとりに寄り添って見極め、きめ細やかに届ける。その子の状況や背景、心の声に耳を傾け、本当に役立つ支援を個別に考え抜いて提供する。そこまで丁寧に向き合うことで初めて、真に届く支援になるのだと思います。そこにD×Pさんの支援に対する真摯な姿勢を感じました。

今井:一見すると「食糧支援」ですが、実は生活必需品や心をほぐすようなアイテムも含め、「あなたのことを大切に思っています」という気持ちを届ける場なんです。
ひとりひとり違う状況だからこそ、「物を渡す」以上の意味を大事にしたいと考えています。単に食糧や日用品を届けるだけでなく、そこに「あなたのことを気にかけている人がいる」というメッセージを込めたいんです。
多くの若者は大人を頼ることをためらいますが、こうした支援を通じて「困ったときは周囲に頼っていいんだ」「ここなら相談してもいいんだ」と感じてもらえればと思っています。
私たちが提供するのは物資だけでなく、信頼関係の入り口でもあるんです。この小さなつながりが、孤立しがちな若者たちの心の支えになれば嬉しいです。

寄付を「一方的に与えること」とは思わない
今井:リセラさんにD×Pを支援いただくようになって、もうすぐ1年になりますね。法人寄付というと、多くの企業さんが「社会貢献したいけど、どの団体や活動に支援すればいいんだろう?」と選択に悩まれるものです。
特に昨今は支援先の選定が難しくなっている中、奥迫さんはすぐに私たちの活動を選んでくださって、本当に驚きました。数ある支援先の中から選んでいただけたこと、いまでも心から感謝しています。
奥迫:やはり決め手となったのは、実際に現場を見学させていただいたことですね。「ここなら安心してお任せできる」と思えたんです。寄付というと「与える」イメージを持たれがちですけど、私は「共に支え合う」感覚でいたかったので。
実際にD×Pさんの現場を訪問させていただいて、支援の具体的な取り組みや、その背景にある想いが本当によく伝わってきました。先日は、D×Pさんに化粧品を寄贈いたしました。その化粧品も食糧支援のセットに入れて箱詰めし、手書きのメッセージを書くお手伝いもさせていただきましたが、自分の原体験とも重なり、支援の大切さを心から感じることができました。

今井:嬉しいです。食糧支援は確かに大事な取り組みですが、それ以上に私たちが大切にしているのは、若者や子どもたちに『自分のことを気にかけてくれる人がいる』と実感してもらうことなんです。
そのため、初めて食糧を送る方には、美術館から寄贈していただいたポストカードに手書きのメッセージを添えています。

スキンケアと支援活動ーー「自分を大切にする」という共通の理念
奥迫:いままで今井さんと対話を重ね、活動を見学させていただいたり関わらせていただく中で、特に印象に残っていることがあります。それは、D×Pさんと私たちには共通する理念や姿勢があるということ。
今井さんとお話をしたり、活動を見学させていただいたりする中で、徐々に見えてきたことがあります。それは、D×Pさんと私たちドクターリセラには、根本的な部分で近しいものがあるということです。
今井さんたちのそういった姿勢に触れて、私たちがエステで大切にしている「手当て」の心と、とても近いものを感じました。
実は、私たちの施術を受けながら涙を流されるお客様は少なくありません。それは、誰かに優しく触れられることで、「自分は大切にされている」という実感が湧いてくるからなんです。D×Pさんの支援活動にも同じものを感じました。
物資を届けるだけでなく、「あなたのことを想っているよ」というあたたかい気持ちを込めて支援されている。その心遣いに、深く共感しました。
今井:そうですね。私たちは、「どうすれば子どもたちの心に響くだろう」「どうすれば大人を頼っていいんだと思ってもらえるんだろう」と考えながら工夫を重ねています。リセラさんも、スキンケアを通じて「自分を大切にすること」の素晴らしさを伝えていらっしゃいますよね。
奥迫:はい。私たちは、スキンケアを単なる美容行為としてではなく、「自分自身と向き合い、大切にする特別な時間」だと考えています。だからこそ、スキンケアを通して自己肯定感を育むことができるんです。
スキンケアは、決して贅沢なものではなく、自分らしく生きるための大切な手段。
それはD×Pさんの支援活動が「自分を大切に思う」きっかけをつくっているのと同じだと思いました。「ここなら私たちが支援する大きな意味がある」と確信したんです。
今井:ありがとうございます。そう言っていただけると本当に嬉しいです。

「関わり続けること」が未来を変える
今井:実は、最近私たちの活動に関心を示してくださる企業さんも少しずつ増えてきています。もし寄付を検討している企業さんに向けて、実際に支援してくださっている立場から、何かメッセージがあればぜひお聞かせいただけますか?
奥迫:もし寄付先について迷っていらっしゃる企業の方がいらっしゃいましたら、まずは現場を見に行っていただければと思います。
寄付というのは、誰かの未来に関わる大切な取り組みだと思うんです。実際の活動を見ると「こういう形で支援できそうだ」と自然に思えるはずです。
D×Pさんのように、ひとりひとりに真摯に向き合い、寄り添った支援をしている団体であれば、安心して応援することができますよね。
今井:そんな風におっしゃっていただいて、ありがとうございます。私たちは、寄付を「一方的に与えること」ではなく、「お互いに支え合うこと」だと考えています。関わり続けることで、実際に支援がどんなふうに役立っているかを共有できるのも大事なことだと思います。
奥迫:はい。支援の形はさまざまですが、一度きりで終わるのではなく、継続して関わり続けることが未来を変えるんだと思います。これからもD×Pさんの素晴らしい取り組みが、より多くの方々に届いていくことを願っています。
今井:ありがとうございます。私たちも、ドクターリセラさんの「本来の力を信じる」という想いと共に、より多くの若者が自分を大切にできる社会をめざしていきたいです。これからも一緒に、支援の輪を広げていければと思います。
執筆:株式会社ストーリーテラーズ
認定NPO法人D×Pは、多くの皆さんの寄付により支えられています。
この記事が、ひとりでも多くの方の目にとまり、寄付の輪が広がっていきますように。
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