2015年7月4日(土)ECC学園高校京都学習センターにて、第4回クレッシェンドが開催されました。
通信制高校の生徒のためのキャリア教育プログラムです。
社会人・大学生ボランティア(コンポーザー)との交流を柱として、生徒の自己肯定感の向上と社会関係資本の獲得をめざしています。
クレッシェンドでは1クラス(最大10名の生徒)に対して3ヶ月間で全4回の授業を行います。
1回目の授業のテーマは「失敗なんて当たり前 ! 」。
様々なバックグラウンドを持ったコンポーザー(社会人・学生ボランティア)が、過去のトラウマや辛かったことなどについて高校生に話しました。
2回目の授業のテーマは「みんなの生活みてみよう ! 」。
大人たちから、今までどんなふうに進路を決めてきたのか?
また、今はどんな生活をしているのか?進路選択の悩みなども含めて、話を聞きました。
今回、3回目の授業のテーマは「みんなでユメブレ♪」。
「いまちょっと興味のあること」から「将来こんな風に生活してみたいなぁ」ということまで、1人ひとりの想いを聴き合います。
全4回のクレッシェンドも、いよいよ最終回。
はじめて出会った頃とは違い、すっかり顔なじみになった高校生とコンポーザーたち。
授業前、大人たちが打ち合わせをしている教室を、じーっとのぞく高校生もいて、ちょっと嬉しい気持ちになりました・・・♪
4回目、最後の授業の目的は、これまでの3回の授業を振り返ることと、お互いがこれまで感じて来た「その人の印象」を伝え合うことで、今まで知らなかったような自分の側面を知ることです。
10時半、まずは午前のクラスから始まります。
今回は「ジョハリの窓」というゲームからスタートしました。
「ジョハリの窓」とは…?
一言でいうと、”自分が周りからどう思われているのかを知るゲーム”です!それぞれチームに分かれて、「A , B , C , D , E」と、アルファベットが書かれたカードが配られます。そのカードを使いながら、いろんなお題に沿って、チーム内の人の「印象」を伝え合います。
スタッフがお題を設定するので、そのお題に沿って進めていきます。
例えば、「小さい頃はどんな子だった?」というお題があったとします。
これを聞いて、まずチームの1人の印象を考えます。そして、自分の考えと当てはまるカードを用意します。
このお題で用意された、選択肢はこんな感じ。
A. やんちゃ
B. 真面目
C. いじられ役
D. ませてる/大人びてる
自分も含むチームの全員がカードを出します!
「周りから見ての印象」と、本人がおもう「自分の姿」が、違っていても、同じであっても、どちらもとても盛り上がります。
カードを見ながら、「うーん・・・」と悩む高校生もいれば、お題が出された瞬間、「◯◯ちゃんはコレやな ! 」と即決する高校生もいました。
「将来どんな仕事をしてそう?」というお題のとき、いつもは恥ずかしいのか、自分の考えをあまり口にしない高校生が、ひと通りみんなから自分へのイメージについて話を聞いたあと、
と、ボソッと話していたのが印象的でした。
「ジョハリの窓」のあとは、「ジョハリの手紙」というワークをします。
「ジョハリの窓」とは違い、お題がなく、自由に、このクラスの大人たちや高校生たちの「印象」を手紙に書いて伝える、というワークです。
相手の顔をちらちらっと見ながら、スラスラと相手の印象を書く人もいれば、相手との会話をじっくり思い出しながら、ゆっくりと書き進める人もいました。
ジョハリの手紙が書けたら、一斉に交換し合います。
「ふだん、とりとめのないお喋りしている友達に、改めて印象を伝え合う」ということは、ちょっと気恥ずかしさもあるのかな・・・?
多くの高校生が、「・・・はい ! 」とカードを渡すだけで、そこに書いてある内容について、多くを語ることはなかったように思います。
それでも、受け取ったカードを、ニコニコと嬉しそうに眺める高校生がたくさんいました。
カードを交換したあとは、その日の学びを振り返る「学びシート」を記入します。
今日の授業の感想を、高校生はこんなふうに書いています。
最後にサプライズで色紙をプレゼントしました。
大事そうに色紙を抱え込む高校生の姿を見て、「みんなと出会えて良かったなぁ・・・」と強く思いました。
——————————————————————————————————————————-**————-
15時からは、午後のクラスが始まります。
午後のクラスも、「ジョハリの窓」からスタートしました。
「小さい頃の印象で、”本を読んでそう ! “って言われたとき、当たってるな〜って思った 」
「”人を助けるやさしい人”って言われて嬉しかった」
「”大人っぽい”って言われてびっくりした。自分ではそんな風に思ってなかった」・・・
「恋人に求める条件は?」という質問のとき、
「◯◯ちゃんは、〝趣味が合うかどうか?〟を重要視しそうだなぁ〜」 と言われた高校生が「わたしは〝顔が大事〟って思っているのにな〜〜」と話す場面もあり・・・ !
終始、笑いにつつまれた時間でした。
ジョハリの窓が終わったあとは、ひとりひとりに向けて手紙を書きました。
たくさんおしゃべりしたことのある人に対しては、スラスラとペンが進む一方で、あまり話したことのない人に対しては、なかなか何を書こうか迷っている様子も見られました。
手紙が書けたら、一斉に交換し合います。
実はこの手紙、授業に参加しているコンポーザー同士も交換し合います !
3ヶ月にわたって一緒に授業をつくってきたコンポーザー同士、伝えたいことがたくさんありすぎたのか、小さな字でびっしりと書かれた手紙をもらって驚くコンポーザーもいました。
もらった手紙をテーブルに持ち帰って、
嬉しそうに眺める高校生の笑顔が印象的です。
手紙を交換したあとは、少しの間、自由におしゃべりする時間をとりました。
あるグループには、今まで「◯◯大学に行きたいって言ってたけど、本当は大学に行きたくなんかないんだ」と、コンポーザーに話す高校生もいました。
このクラスの生徒たちに限りませんが、「やりたいことに突き進んで行きたい」と話す人も多くいる一方で、「自分はやりたいことなんかないのに、周りからのプレッシャーで大学を目指さないといけない」「本当は◯◯になりたいのに、自分にはどうせ無理だから」などと話す人も少なくありません。
高校生の話を聴くひとりの大人として、
こんなとき、いつもどんな言葉を返したらいいのかとても悩みます。
「こんなこと言ったら傷つけちゃうかなぁ」「これは私の意見の押しつけになってしまわないだろうか…」いろんな選択肢が頭のなかを駆け巡ります。
でも、不思議なことに、話を続けていくと、高校生自身のなかに「自分の答え」みたいなものがあるなぁと感じることが少なくありません。
「大人が答えを用意してあげなきゃいけない」「コンポーザーだから、導いてあげなきゃいけない」なんてことはなく、コンポーザーの「わたしはこう思うよ」という意見を聞きながら、高校生が自分で答えを探して行く。
・・・クレッシェンドでは、そんなようなことがたくさんあるなぁ。と改めて感じました。
授業に参加したコンポーザーの声を一部、掲載します。
後日談ですが・・・
8月1日(土) 、午後クラスに参加していた高校生たちをD×P事務所に呼んで、タコ焼きパーティーをしました !
※午前クラスの開催日は台風と重なってしまいました・・・ ; ;
高校生のみんな、いつでも事務所に遊びにきてくださいね☆
D×Pサポーター、募集中!
D×Pが、通信制・定時制高校で開催するこの授業。『クレッシェンド』は、寄付によって運営されているんです。
2017年度、D×Pにご寄付をいただいた方は656名。わたしたちの価値観に共感し、一員になってくださったたくさんの方々に支えられています。
ぜひ、あなたも。D×Pの価値観を、一緒に大きく広げるサポーターとなってください。