D×Pインターン企画運営スタッフ インタビュー第三弾:金子祐樹さん -「人と人が出会うことによって”人”が輝く」という場面をいっぱい見せてもらった

NPO法人D×P(ディーピー)が通信制高校に通う生徒に向けて
届けているキャリア教育プログラム「クレッシェンド」

このクレッシェンドの運営に携わる「D×Pインターン企画運営スタッフ」のひとり、
神戸外国語大学3回生の金子祐樹(かねこ ゆうき)さんに
インターンとして活動するようになった経緯や
活動を通じて考えたことについてうかがいました。

※当時、企画運営スタッフは「教職インターン」という名称だったため、インタビュー中には「教職インターン」という言葉が出てきます。ご了承くださいませ。

「豊かな先生になりたい」という目標があって、
そのためには、色んな人を知って、色んな経験を積むのが一番やなって思いました。

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―今日はよろしくお願いします。
神戸市外国語大学国際関係学科3回生の金子祐樹です。よろしくお願いします。
2014年9月からD×Pの教職インターンとして関わり始めました。

―どんなきっかけでD×Pの教職インターンを知りましたか?
ある神戸市外大の先生がD×Pの今井紀明の講演に行き、今井からインターン生の募集をしていると聞いたそうです。その先生が、「うちの大学の学生からぜひD×Pに(インターンに)行かせたい!」という熱意を持たれて、色んな教育のゼミの先生に学生を探していると伝えたそうです。それで、たまたま僕が所属していた英語教育をやるゼミの先生から「金子やってみないか」と言われたのがきっかけです。

面談の日に担当の川上さんがインターンの概要説明をしてくれたんですが、その時に聞いた、D×Pのビジョン「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」というフレーズがすごく気に入りました。コンポーザー(D×Pの社会人・大学生ボランティア)のような、多様な大人に出会えるのも魅力でした。

―元々、通信制高校や定時制高校に興味があったのでしょうか?
D×Pは通信制高校や定時制高校の生徒たちを対象に活動している団体ですが、僕自身はそこに興味があるわけではなかったです。でも、自分自身が中学生のとき一時的に学校に通っていなかったこともありましたし、不登校状態になった僕の幼なじみや保健室登校している子などの苦しんでいる様子を見て、笑顔にしたいなと思って友人の家に行ったり保健室に顔を出したりしていました。そういった学校に馴染めない子と関わるということはこれまでもずっとしていて、そこに興味がありました。

インターン説明会で、川上さんが、高校時代の卒業アルバムに掲載されていたクラスの集合写真を見せてくれました。クラスの皆が20人くらいでめっちゃ楽しそうに肩を組んでいる写真で、「めっちゃ楽しそうないい写真やろ」って川上さんに言われました。「そうですね」と答えると、川上さんが「これな」と言って、写真の画面を引いて、写真の全体像を見せてくれた。そうすると写真の端で自分の机で作業している子が10人くらいいるんです。中心にいる肩を組んでいるグループには混ざらずに、座ってそれぞれのことをしている。「全日制の学校でも、クラスに馴染めない子がたくさんいる。多様な生徒がいるから、多様な生徒との関わり方をうちで学ぼう」と川上さんが話していたのがすごく印象的でした。

―教員になろうと思って、D×Pにインターンに来たのですか?
インターンに応募するときは、「先生になる」と決めていました。
僕は目標の先生に出会えなかったから、「だったら自分がいい先生になれば、嫌な思いをする子が少しでも減るんじゃないかな」と思って、先生を目指しました。

“cultivated person”という言葉があります。僕のオリジナルの解釈なんですけど、cultivated(カルティベイティッド)という言葉を「芳醇な」とか「豊かな」という意味で捉えていて、僕の場合は、”cultivated teacher”を目指していました。文字通り「豊かな先生になりたい」という目標があって、そのためには、いろんな人を知って、いろんな経験を積むのが一番やなって思いました。だから、このインターンで色んな経験を積めるんじゃないかと思いました。

一人ひとり多様なのに、授業のなかではその多様性が歯車のようにかっちりと噛み合ってD×Pの理念を体現していることに驚いた。

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―初めて授業に関わったときの、感想を教えてください。
「特にない」っていうのが正直な感想です。「通信制高校の生徒って思ってたのと違う!」っていう感想はなくて、これまで自分がいろんなタイプの人と関わってきた経験を活かせるので、「自分の培ってきたものを活かせるいい場に出会えたな」って思いました。

高校生よりも、初めてコンポーザー(D×Pの社会人・大学生ボランティア)と関わったときの方が、衝撃が大きかったかな。みんなそれぞれの考え方を持っており、生徒との関わり方も千差万別です。一人ひとりが多様なのに、授業の中ではその多様性が歯車のようにかっちりとかみ合って、それぞれがD×Pの理念を体現していること驚きました。それまでボランティアをいくつか経験してきましたが、その感じは初めての経験でした。

―授業では、どういう形で生徒に関わっているんですか?
最初は「生徒の輪のなかに飛び込んで、相手の言いたいことを引き出す」という関わり方をしていました。でも、コンポーザーさんのなかには一歩引いて観察しながら関わるという人など色んなタイプの人がいて、それぞれの関わり方をしていることがわかった。

だから、僕は「ただ飛び込む」ではなくて、クラス全体のバランスを見ながら、自分の役割を考えて動くようになりました。話し上手なコンポーザーさんがいれば、自分は聞き上手になろう、っていうバランスで見ています。

 

自分が良かれと思ってやっていることが、生徒にとって必ずしも良いわけではない。僕の物差しで測ってしまっていないか?を常に考えていて、今も葛藤しています。

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でも、「自分が積極的に関わってそれで生徒がこう変化した!」みたいなエピソードはないですね。
自分はコンポーザーと生徒が自然に関わるための橋渡しをするような立場だったので。

クラスのムードメーカー的な存在の生徒がいました。面白いことを言ってみんなを笑わせる存在で、さらにコンポーザーが話すと「これってどういうことですか?」と興味を持って質問していて、「賢い子だな」と思っていました。でも、「本当の僕はこんなんじゃない、しんどいときはしんどいし、僕なんか大したことない」と、とにかく自信がない様子でした。

でも、あるコンポーザーさんが、失敗体験談を話すプログラムの時に「僕は仮面をかぶって生きてきた」という話をしました。「これまでお調子者のマスクをつけてきたけど、これを脱いだ時に僕には何にも残っていないんじゃないかと思った」と。「でもそう考えるんじゃなくて、色んなマスクをつける人生を選ぼうと思った。騒げる自分がいるのもいいし、家で一人ぼっちになって静かな自分もいていい。こういうマスクをつけることが悪いことだと思わず、マスクをつけて自分を楽しもうと思う」という話でした。その話にその男子生徒が共感して「僕もマスクをつけていいんだなって思いました!」と嬉しそうな顔をしていて、その表情がすごく良かったのを覚えています。

【コンポーザー】と【高校生】という、出会うはずもなかった人同士が出会うことで化学反応が起きる。
「人と人が出会うことによって、”人”が輝く」という場面を、クレッシェンドでいっぱい見せてもらいました。

―インターン中に、難しいなと思ったことはありますか?
元インターン生の中西さんも言っていたけど、クレッシェンドにはちょっと残酷な一面もあるんです。生徒の中には「喋りたくない」と思う生徒もいるのに、最終的には喋らせようとしているわけですから…。コンポーザーさんに、「金子くんは生徒を”変えよう”とする意志がある。でも、それが心地いいと思う人と思わない人がいると思うよ」とフィードバックしてもらって、自分の生徒との関わり方を見つめなおすようになりました。自分が良かれと思ってやっていることが、生徒にとって必ずしも良いわけではない。生徒にとっての「成長」を僕の物差しで測ってしまっていないか?を常に考えていて、今も葛藤しています。 

普段から「否定しない」という姿勢を体現しているメンバーだからこそ

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―他のインターン生との関わりについて教えてください。
自分にとっては、家族のようなものかな(笑)
生徒が「何を喋ってもいいんだ」と思える空気作りが上手なメンバーが多いから、居心地がいいですね。他のインターン生の「聞く姿勢」を見ていると尊敬します。普段から「否定しない」という姿勢を体現しているメンバーだからこそ、クレッシェンドで居心地がいい空間が生まれるのだと思うし、すごく信頼しています。

―同時期にインターン生になった纐纈(こうけつ)さんは、どんな存在ですか?
纐纈くんは本当にすごいなって思ってます。Excel使ったりとか、会議の議事録を取ったりが得意で、D×Pのなかで、自分の役割を果たしている。そうやって、纐纈くんがD×Pのなかで自分のポジションを確立していくのを見ていると「自分もポジションを確立しないと」って思います。同期のインターン生と関わっていると、居心地がいいだけではなくて、刺激をもらえます。

―他のスタッフとはどういう関係で接していますか?
共同代表の今井と朴を見ていると、本当に面白い人たちだなと思います。あんなフランクな代表、すごくないですか?(笑)それは、2人とも過去に社会から隔絶されたバックグラウンドがあるから、その分「人を受け入れる」という姿勢が身についたんだと思う。一緒にいて居心地がいいですし、なんとか2人からいろんなことを学びたいなって思います。

―教職インターンの上司にあたる、川上さんとの関わりを教えてください。
実は、川上さんに一番ライバル意識を持っています(笑)
「(川上さんに)認めさせてみせる」みたいに思ってるかな。
川上さんはとてもロジカルで、人を説得させる力を持っているので尊敬しています。川上さんが話すと、コンポーザーさんが全員「おぉ」って驚いたり、新しい気付きを得ている様子を何度も目の当たりにしました。D×Pは居心地いい空間で、僕の存在は認めてもらえるんだけど、川上さんに僕の生徒との関わり方を認めてもらえたことはなくて、それに対してチャレンジしたいと思っています。

以前川上さんと一対一でお酒を飲んでいるときに、「正直に言って、DxPに入った後の僕に関してどう感じていますか?」とフィードバックを求めたら、「正直、思っていたよりは、大したことなかったなって思ってるよ」と言われたことがあります。それがずっと心のなかで燻っていて、モチベーションの一つになっていますね。そういった本音を言い合える存在になれたのは、嬉しくもありました。

 

「豊かな教員になる」から一歩離れて、「豊かな人になる」という目標に変化した

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―D×Pに関わった当初は「教師になる」という目標があったとのことですが、それは変わりないですか?
D×Pに関わる前は、「豊かな教員になる、そのために頑張る」という目標がありました。でも、D×Pに関わるようになって、豊かな教員になったらどういう生徒や人と接したいかを考えたときに、「それは学校教育という場に留まらなくていいのではないか?」っていうふうに発想が変化していきました。「豊かな教員になる」から、一歩離れて「豊かな人になる」、という目標に変化しましたね。

―何がきっかけで変化したのでしょうか?
「教育」という場を自分で選んだけど、世の中にはまだまだ他にも面白い場があるな、って思ったんです。これから就活という、自分にとって大切な時期を迎えるんですが、そのときに、わざわざ教育に絞って他の選択肢を消すことは、面白くないなと思いました。

これから卒業後にやってみたいなと思っていることは色々あるんですが、一人ひとりが自分の個性を活かして仕事をしていけるためのキャリア支援をやってみたいという気持ちや、人と人が出会うことで様々な生き方・働き方を考えていけるような場をつくってみたいなという気持ちもあって、どういった方向がいいかを模索しています。また、自分は父親がリストラにあってそれで自分の人生が大きく影響されたという経験があるんですが、そういった仕事を失った人への支援もやってみたいなという想いもぼんやりと持っていますね。

―今後、どういうふうにD×Pに関わっていきたいですか?
今後はいかにこの団体に貢献できるかを考えていきたいと思っています。僕が9月にD×Pを辞めるときに、「うわ、金子辞めるのかよ!」「辞めないでほしいわ」と言ってもらえるぐらい、授業で頼りになる存在でいたいです。

 


 

金子さんへのインタビューは以上です。いかがでしたか?
次回の第四弾インタビューは、纐纈健人さんを予定しています。お楽しみに!

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