2014年12月13日(土)ECC学園高校大阪学習センターにて、第4回クレッシェンドが開催されました。
通信制高校の生徒のためのキャリア教育プログラムです。
社会人・大学生ボランティア(コンポーザー)との交流を柱として、生徒の自己肯定感の向上と社会関係資本の獲得をめざしています。
クレッシェンドでは1クラス(最大10名の生徒)に対して3ヶ月間で全4回の授業を行います。
これまでの授業の様子
・ 1回目の授業はこちら
・ 2回目の授業はこちら
・ 3回目の授業はこちら
クレッシェンドは全4回の授業ですが、この日がいよいよ最後のプログラムとなります。
初回の授業では、コンポーザーも生徒も緊張した面持ちで授業を行っていました。今回は知り合いや友達に会うような気軽な感覚で教室に入ってきているように見えました。
授業前にスタッフとコンポーザーで打ち合わせをして、授業に挑みます!
今日のテーマは「今まで知らなかった自分を知ろう」!
クレッシェンド最後の授業は、これまでの授業で学んだことを振り返り、再確認します。
また、同じクラスの高校生同士、そしてコンポーザーに対して、「受けた印象」をフィードバックし合います。フィードバックを受け、今まで気づかなかった「自分の様々な側面」を見つける授業です。
まずは、「ジョハリの窓」というアイスブレイクを行います。
「ジョハリの窓」とは…?
簡単にいうと、“自分が周りからどう思われているのかを知るゲーム”です!それぞれチームに分かれて、「A , B , C , D , E」と、アルファベットが書かれたカードが配られます。そのカードを使いながら、いろんなお題に沿って、チーム内の人の「印象」を伝え合います。
スタッフがお題を設定するので、そのお題に沿って進めていきます。
例えば、
「小さい頃はどんな子だった?」というお題があったとします。
これを聞いて、まずチームの1人の印象を考えます。そして、自分の考えと当てはまるカードを用意します。
このお題で用意された、選択肢はこんな感じ。
A. やんちゃ
B. 真面目
C. いじられ役
D. ませてる/大人びてる
自分も含むチームの全員がカードを出します!
高校生のスルドイ洞察力に、うなる大人たちの姿もありました。
「僕らより高校生の方が、他人のことをよく見ているなと感じた」と、コンポーザーから感想も漏れるほど。
今までただ笑顔を見せてあいづちを打つだけだった生徒が冗談を言ってくれたり、「昔は実はこうだった」とみんなに話してくれたり、これまで交流のなかったように見えた生徒同士が声をかけあっていたり…。
それぞれの変化を垣間見ることができました。
生徒が授業の最後に書いてくれた学びシートには、こんな言葉もありました。
休憩をはさんで「ジョハリの手紙」というプログラムを行います。
ジョハリの手紙は、これまで4回の授業を通してもった相手への印象をカードに書いて、伝えるものです。
特にお題もなく、「相手への印象を書く」というのは難しいもので、どの生徒も戸惑って白紙のカードと睨めっこをしていました。
それでも、周囲のコンポーザーがカードに何かを書いている様子(コンポーザーも書きます!)を眺めながら、自発的に書き始めた生徒や、「なんでも思ったことを書けばいいよ」とコンポーザーが声をかけると、ペンを走らせ始めた生徒もいました。
「思っていることがあるのに、うまく書けない」と伝えてくれた生徒もいました。それぞれ試行錯誤しながらも、自分のペースで取り組んでいたようでした。
手紙を書くことができたら、お互いにカードを配り合っていきます。
コンポーザーに対して、生徒同士で、印象を伝え合っていきます。
「優しい人だなと思っていました」
「鋭い感性を大切にしてね」
などなど・・・
コンポーザーから、気持ちを込めた手紙を受け取って照れくさそうにする生徒もいました。
これまでの授業では、一対一で話し合うことはあまりありませんでした。でも今回のプログラムでは、1人ひとり対面してカードを配り合っていきます。
緊張した面持ちの生徒や、少し手を震わせながらカードを渡してくれた生徒もおり、カードを渡し終えると、エネルギーを使い果たしたのか、力の抜けたような顔をしているように見えました。
プログラムが終わったら、学びシートを記入します。
最後に、生徒たちにサプライズが!
これまで授業に参加してくれたお礼として、コンポーザーとスタッフから生徒1人ひとりへのメッセージが書かれた、手作りの色紙をプレゼントしました。
「授業に参加してくれて、ありがとう!」
色紙を受け取った後、生徒が色紙を大事そうに見つめていたのが、とても印象的でした。
帰り際、
「いつも2週間後を楽しみにしてた。クレッシェンドだから頑張って来れた」と言ってくれた生徒、
「回を重ねるごとに楽しくなっていった」と言ってくれた生徒。
「もうすこし話したかったわぁ」と教室に名残惜しそうに残ってくれる生徒がいました。
人によってはハードルの高い授業もあったので、しんどい思いもしたと思います。知らない大人に囲まれて、最初は不審がっていたのでは?!と思います。
全4回の授業でじわりじわりと、関係性をつくってこれたこと、「また会いたい」と言ってもらえたことが、何より嬉しいです。
授業はこれで終了ですが、D×Pと関わる機会はこれからもつくれるので、また会おうね!
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15時からは、午後のクラスが始まりました!
まずは、午前のクラスと同様「ジョハリの窓」を行います。
女子が多めのグループでは、「好きな人に対してどうアプローチするか」というお題を設定し、様々な恋愛話が飛び交うなど、女子トークが繰り広げられました(笑)
「○○ちゃんって意外とがつがつアタックするイメージだけど、草食なの!?」
「実際好きって思ってもどうしたらいいかわからなくなるんですよね…。」
このお題では男性の方が照れながら話していましたが(笑)、クレッシェンドの中で恋愛のお話をすることがあまりないからか、どのグループより盛り上がっていました。
また他のグループのお題では、高校生の発言に対し「あれっ、意外と当たってるね!」という声がちらほら聞こえる光景も。生徒とコンポーザーが4回の授業を通じて、何かしら相手の特徴や雰囲気を掴んでいたようです。
女子会(!?)が終わったあとは、「ジョハリの手紙」で相手に印象を伝え合っていきます。これも午前のクラスと同様、これまで4回の授業を通して受け取った相手の印象をカードに書いて、伝えるプログラムです。
このクラスでは、「書くことが難しい」と言った生徒が多かったので、まずは簡単に相手の印象を伝えることができるよう、“相手を何かに例えてみよう!”というお題で進めました。人を、野菜、果物、電化製品、花など、色々なものに例えて表現してみます。
生徒に対し、「周りを明るくしてくれるテレビみたいな人だね」とコンポーザーが言うと、「テレビは悲しい番組もあるけどな!」と言いながらも、嬉しそうな様子でカードを受け取っていました。
いざカードを書くとなったときは、「俺は書かん、だるいわ」という生徒も。
ところが書いたカードを渡す時間になると、その場で生徒に対して目指しているものや、やってみたいことを聞きだして、その場でメッセージを書いて渡していました。その生徒なりの、表現のカタチだったのだなと思いました。
また、カードを渡す時は「ちょっと緊張する」と言った生徒がいたので、ゆっくり時間をとって「一緒に渡しにいこう」と言いました。本当に緊張した面持ちでしたが、カードを受け取った生徒のにこやかな表情をみてほっとしている様子でした。
他の生徒も、コンポーザーやスタッフが背中を押すとゆっくり近寄る場面が何度もありました。もちろん自分から手紙を渡しに行く場面も。
カードを配り終わったら、学びシートを書いて、最後にサプライズの色紙を渡しました。
授業に参加してくれてありがとう!
これで、大阪の授業も終了です。
今回のクレッシェンドは、試行錯誤の繰り返しでした。でも、生徒たちから学んだことは、「生徒は、自分で何とかできる力を持っている」ということ。
環境を整えれば、その生徒それぞれの「やりたいと思う気持ち」を自分から出してくれるのだということでした。
D×Pができることは、その気持ちを引き出せるだけの「環境」を用意することだけなのかもしれません。
そんなことを思いながら、教室を後にしました。
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