「卒業後、見捨てられた感じがした」ー卒業生が創る居場所のかたちー

助けてもらうばかり。

そんな風に思っていた時、「これお願い出来る?」と言葉をかけてもらえると、自分とその人との関係性の間に「居場所」のような拠り所が生まれるような感覚になることがあります。

 

『可能性がいくらでもあるような場所だし参加者の子らだってまだまだ若いわけだからどんな生き方でも出来ると思う。きっとそれは俺自身にも言えることだけれど。自分に何かしら自信を持てるようなきっかけを作る場所にもしたいなぁ。』

 

そんな風に話すのはD×Pの事業、卒業後コミュニティの「ゲーム部」運営メンバーのひとり「ぱた」です。D×Pとぱたが出会ったのは6年前のクレッシェンド、彼が高校1年生の時のことでした。改めて、21歳になった彼にお話を聴いてみました。


「どちらかと言えばうろ覚え。でもすごく自分にとって変化をもたらしてくれた」

クレッシェンドは、高校生と「コンポーザー」と呼ばれる大学生・社会人ボランティアが繋がりをつくる授業です。その4回のプログラムの中には、コンポーザーが自分の過去の経験を話す時間があります。

 

ぱた
コンポーザーがどんなことを話してくれたかはうろ覚え。でもすごく自分にとって変化をもたらしてくれた行事であることは印象に残ってる。

 

クレッシェンド受ける前までのぱたは、精神的落ち込んでる状態にあったそうです。これからどのように精神面を整えていけば良いのか、どうすれば自分が明るくなっていけるのかが分からなかったと言います。

 

ぱた
高校に入って自分と同じような環境で育ってきた子と出会って孤独感というのは無かったけど、自分はまだ落ちてる人間だと感じていて。そこから、どうやって這い上がっていって良いのかずっと悩んでいて。
そんな時、初めてクレッシェンドを受けたんよね。コンポーザーの話を聞いて、自分とは違う落ち方でも一時期沈んでそこから這い上がっていくことができるんだってことを知れた行事ではあった。

「前を向くというより、ずっと後ろ向きながらバックしている状態なんや。前は向けてない。」

ぱたは高校に入学してからのことを思い出すと幸せな方だったと話します。しかし、そんな中でも高校に入学する前の過去の出来事や記憶はずっと自分の中で引っかかっていたそうです。

 

ぱた
俺の場合、小3から中3までずっといじめがあった。高校生活の中でもずっと引っかかっていて、ちょくちょく病む時期があってんな。そこらへんのこと気にせんと受け入れた状態で、明るい方向へ行きたいと思ってんな。なかなかうまくいかへんねんけど「いつか笑い話になるって」っていう言葉に早くたどり着きたいと思ってるし。

 

当時、よく相談にのってもらっていた先輩からは「どうしても今のあなたは昔のあなたを受け入れきれてない。どちらかというと拒絶してしまっている。」と助言を受けたといいます。

 

ぱた
どうしても過去の自分であったりとか、その場に起きてしまったことを常に拒絶していて。俺は前を向くというより、ずっと後ろ向きながらバックしている状態なんや。前は向けてない。
 
 

 

「自分が安らぐだけじゃなくて、これを見た人もなんかモヤモヤしてるものが晴れたらいいなと思って。」

高校在学中は、毎日一瞬一瞬が楽しみで仕方なかったというぱた。D×Pが開催していた部活動「アート部」や「写真部」にも参加していました。写真と書道をコラボレーションしたアート展を開催し、初めての展示会を経験します。

 

ぱた
自分が撮影した写真に、書道で書かれた文字が入る。普段はデータとしてしか残っていなかった写真が形になって会場に貼られて。そして、色々な人の目に入って、見てくれた人達が感じたことをノートに記してくれて。
 
 
 

 

そんな経験は、ぱたにとってとても新鮮なものだったそうです。

 

ぱた
写真を撮ってる時はすごく精神面もケアされた。自分が安らぐだけではなくて、写真を見た人のモヤモヤも晴れたらいいなと思っていた。写真は、見た人を幸せにすることも出来れば、現実を突きつけることもあって。被災地の写真や戦場に行って撮られた写真からは、現実的な重苦しさも受け取ることがある。でも俺はどちらかというと、自然や風景の人の心を柔らかく軽くできる写真を撮って、色んな人に見てもらいたいと思ってアート展や写真展に作品を出してた。
 
 

「高校時代に助けてくれたのは嬉しかったけど、周りからのサポートが無くなった時点で見捨てられた感じがしていた。」

高校時代にアート部や写真部に参加していたぱたは、現在「ゲーム部」を運営しています。そんなぱたが、D×Pの卒業後コミュニティ「ゲーム部」に関わることになったきっかけを聞いてみました。

 

ぱた
自分より下の世代をなんらかの形でサポートしたいと思った。高校を卒業してからはD×Pさんと連絡をとれていなかった。けれど、高校を卒業してからの方が自分のことを考える時間があって、過去の経験に対するフラッシュバックがすごく酷くて。その時、一番痛感したのは確かに高校時代に助けてくれたのは嬉しかったけど、周りからのサポートが無くなった時点で見捨てられた感じがしていた。

 

ぱたは、高校を卒業してからがしんどかったと言います。そんな中、在学中からつながりがあったD×Pスタッフ「たっちゃん」(川上)から 連絡をもらい再びD×Pに関わることになったそうです。

 

ぱた
D×Pさんとまた関われるんやっていう嬉しさを感じた。それと同時に、俺の場合は卒業してからが一番しんどかったから自分より歳下の人だけではなく、同年齢の中にも悩んでいる人は多いのかなと思った。好きなゲームをやった後にお互いのことを共感したり、話すことが出来たらいいなって。ただ楽しむだけではなくて心のケアもできるような環境にはしていきたいと思ってる。
 
 

 

「ただ楽しむだけではなく心のケアもできるような環境」は参加者の卒業生や在校生だけではなく、ぱたを含む企画運営メンバーのひとりひとりにとっても大切なのだそうです。

 

ぱた
自分の課題が解決されているのかというとそうではなくて。誰かの話を聴いていく中で「そういう考え方もあるんだ」って運営メンバーも考えることが出来る。可能性がいくらでもあるような場所だし参加者の子らだってまだまだ若いわけだからどんな生き方でも出来ると思う。きっとそれは俺自身にも言えることだけれど。自分に何かしら自信を持てるようなきっかけを作る場所にもしたいなぁ。
 
 

 


ふとした折に、思い返される過去のしんどかった思い出を、見ないように消してしまいたくて、必死に蓋をして乗り越えようと意固地になっていることが私にはあります。

けれど、もしかしたらそれは「乗り越えようとするもの」ではなく、人とのつながりの中で互いに支えたり支えられたりしながら「折り合いをつけて自分の一部分にしていくもの」なのかもしれないなと、ぱたの話を聴きながらぼんやりと感じました。

 

D×Pは、クレッシェンドやいごこちかふぇで、高校生ひとりひとりに人とのつながりを作ってきました。高校を卒業するときにつながりが途絶えてしまわないように、ライブエンジン事業で高校生が働き生きていけるようサポートもしています。

事業を運営しながら、『学校を卒業したとしてもつながり続けることができる』そんな居場所をずっと作りたいと思っていました。

 

D×Pが高校生に提供する居場所ではなく、卒業生や高校生と一緒につくり、関わる人がケアされる互助的な居場所づくり。ぱたが『ゲーム部』で実現したい居場所は、高校を卒業したときにD×Pとの繋がりが途切れ「見捨てられた」と感じた経験にも通じるのだと感じます。

「ゲーム部」がこれから、どんなふうになるのかはわかりません。そんな、成果が見えづらい取り組みも価値観に共感するサポーターの寄付があるからこそ、挑戦できています。

 

ぜひ、元高校生のぱたとD×Pの挑戦を寄付で応援してください。

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インタビュー・編集 :塩谷友香 / 編集・撮影 : 磯 みずほ

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