2024年度の定時制・通信制高校での事業の一時停止につきまして

2024年4月以降、認定NPO法人D×P(ディーピー)では、定時制高校・通信制高校で実施するすべてのクレッシェンド、およびすべての居場所事業(いごこちかふぇ)※等の活動を一時停止することにいたしました。これまで、本事業を寄付、ボランティア、食事提供などさまざまな形で支援してくださったすべての方々に、お礼とご報告を申し上げます。
※居場所事業で実施しておりました「仕事体験ツアー」は継続いたします。

とても長いですが、この決定にいたった経緯をお伝えさせてください。
D×Pは2012年度から通信制高校のクレッシェンドをはじめ、2017年度から定時制高校での居場所事業をはじめました。

クレッシェンドを通して否定せず関わるなかで、その名の通り「だんだんとつよく」、生徒本人がもともと持っていたなにかを発揮していく様子を、たくさん目にしてきました。2016年度から始めた居場所事業では、週1回継続的に関わることで、年間を通して生徒と関わり続けることができるようになりました。

一方で、そうやって「だんだんと」変化していくことの意義を伝え、寄付や助成金などの資金を得ていくことは、年々難しくなりました。また、本人に直接的に関わるのではなく、学校を通して関わっているため、迅速かつオープンに活動報告をしていくことが難しく、2019年度には大きな寄付・助成金を受け取れないことが立て続けに発生しました。

資金が獲得できないからといって、意義がないということではありません。2020年度以降、なんとか継続できないか模索してまいりました。この3年間半、何度も社内で議論を重ねました。しかし、いくつかの案や新しい運営の方向性を断念せざるを得ないことが続き、やむなく停止する決定をいたしました。しかし、資金的リソース・人的リソースの乏しさが背景であり、本事業の社会的意義は変わらずあることを、強く、お伝えしたいと思います。

世の中には、10代・20代が過ごせる場所が減っていると感じています。地域によっては図書館等公共機関での勉強禁止や、駅や施設のベンチの削減もあり、若者が集まることができる「目的のない場」の減少を実感しています。だからこそ、今回の撤退は非常に痛恨であり、D×Pとしてもなんらかのかたちで取り組めるようこれからも模索してまいります。

これらの事業は完全に撤退するというかたちはとらず、なんらかのかたちで再開することができればと考えています。
「D×Pで今後取り組みたい事業案」のうちのひとつとして、あたため、持ち続けます。

本事業の代替にはなりませんが、D×Pでは、2023年6月にあらたに大阪・ミナミの繁華街にユースセンターを設立し、多様な背景を持つ若者と関わり続けています。この事業運営で培ったノウハウや価値観はユースセンターの運営で引き継いでまいります。
さらに、全国の13-25歳が無料でLINE相談できる「ユキサキチャット」の登録者数は1万2000人を超え、食糧支援数は20万食を超えました。(2024年3月21日時点)日々を生きることが困難な若者の存在を、痛感しております。

D×Pは引き続きユース世代が自分の未来に希望が持てる社会をつくれるよう、取り組んでまいります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

2024年3月25日
認定NPO法人D×P(ディーピー)

D×Pとは?

認定NPO法人D×P(ディーピー)は、不登校・中退・経済的困難など、さまざまな境遇にあるユース世代の孤立を解決するNPO。繁華街やLINE相談でユース世代と出会い、困った時に頼れる人とのつながりをつくります。LINE相談事業「ユキサキチャット」は全国から相談を受けています。保護者に頼れない25歳までの若者へ食糧支援・現金給付を実施し、生活のサポートをしています。

わたしたちは2022年から家庭に居場所がない若者が集まる通称グリ下(グリコ看板の下)で、若年層が自由に使えるフリーカフェをスタートしました。若年層が集まる場所にテントを立て、お菓子や飲み物、生理用品やコンドーム等の無料配布を行ないながら、若者と対話し、つながりをつくってきました。そして、2023年6月から繁華街(大阪・ミナミ)に「ユースセンター」を新設しました。グリ下(グリコの看板のある高架下の名称)から徒歩5分圏内の場所に、若者が安心して利用できる・主体的に活動できる居場所を運営しています。

Share

Top