先生とは、ちがう立場で。 – 塔南高校授業レポート(前編)

「塔南高校でこんな授業をやってくれてありがとう。」
 
2015年10月の京都新聞朝刊に、
京都市立塔南高校でのD×Pの授業の様子が掲載されました。
その記事を見てD×Pの事務所に電話をくださった京都市在住の女性が、
電話口で開口一番、こんなお礼の言葉を贈ってくださいました。
塔南高校の近所にお住まいだそうです。
 
「私たちの世代は【卒業したら正社員として就職するもの】みたいな
わかりやすいルートが用意されてきたけど、今は、そうじゃないですもんね。
皆と同じルートをたどれば、一様に幸せになれる時代は過ぎたんですね。
自分なりの生き方を模索しなければいけないんですね。なんて、苦しい時代なんだろう」
 
そう言って、少しだけため息をつかれたあと、
 
「いろんな生き方に出会うことって、今の高校生にとって絶対に必要ですね。
塔南高校で、こんな授業をやってくれたことがうれしいです。」
 
と、伝えて下さいました。
  
 
 
 D×Pが京都市立塔南高校で授業を開始したのは2014年の夏。
2015年も約半年間、2年制の総合学習の授業を担当しました。
(去年担当した2年生は、3年生になっていて、「あ、ノリさん!」「さえこやーー!」とスタッフの名前を嬉しそうに呼んでくれました♪)
全9回にわたる授業のようすを、レポートします!
 
 
● 1日目—『マトリクス自己紹介』
 
初回の授業は2015年6月30日からはじまりました。
D×Pのスタッフだけでなく、「コンポーザー」という社会人ボランティアも授業に参加します。
 
教室に先生でも生徒でもない、ちょっと年上のオトナたちがいることに、
高校生たちは少し落ち着かない様子。
授業の最初に「オトナと聞いて、みんなは何を思い浮かべる?」と聞いてみると、
「すてき」「働いてる」「頭が固い!(笑)」など、それぞれのイメージを答えていました。
 
 
20512421200_c66ce14a20_k
 
 
第1回の授業では突然やってきたオトナたちのこと、クラスのみんなのことを知るために、
ちょっと変わった自己紹介からはじめます。その名も、『マトリクス自己紹介』!
 
マトリクス自己紹介とは
9つのマスにいろんなお題が書いてあるシートを使います。
お題は「好きなおにぎりの具」「『働く』ときいてイメージすること」「子どものころ憧れていたもの」などなど。
まずはそのお題に答える形でシートのマスを埋め、
その後クラスの人とシートを見せ合い、自己紹介をしていきます。
  
いつもと少しちがう授業に、生徒たちのテンションも高め!
楽しくおしゃべりをしながら、みんなそれぞれの自己紹介シートを埋めていき…
 
 
20674151586_59d39c737c_k
 
 
教室じゅうを歩き回って、みんなで自己紹介!
30人が自由に歩き回ると、ものすごい賑わいです。
 
 
20513622379_8ee698b27f_k
 
 
この自己紹介のルールは一つだけ、『否定しない』。
言っていることを否定したり、茶化さないこと。
 
仲良しの友人でも、普段あまり接しないクラスメイトでも、
あらためて「否定しない」というルールの下で関わると、
また違った一面を発見できたかもしれません。
 
 
20707206361_3c46a917ab_k
 
 
● 2日目—『過去のジブン』
 
2週間後の7月14日、2回目の授業が行われました。
この日のテーマは『過去のジブン』。
コンポーザーたちの過去を知る時間です。
普段聞けない大学生や社会人の話に、高校生は興味津々!
 
楽しい過去ばかりではありません。
学校でのいじめ、けがによる挫折、家庭内の問題。
つらかったり、悔しかったり、悲しかったり、苦しかったり。
それぞれのコンポーザーが様々な過去を抱えています。
 
 
19193804504_ba0d25f2f6_k
 
20889644488_20459b22fa_k 
 
 
話を聞いた生徒たちの感想を一部ご紹介します。
 
「今は今しかできないことをすればいいと思った。後悔しないように。」
「自分のやりたい事をやってみるとどんどん人生が楽しくなりそう」
「みんなつらい過去があったのに今、ちゃんと生きてはるなぁと思った」
「みんなそれぞれいろんな失敗をしている」
「(自分と)同じ経験をしている人がいた」
「【失敗の話】って聞いて、そんなんワンパターンやろって思ってたけど、
3人ともそれぞれに違って、自分が学んだこともそれぞれにあって、
そんな失敗したのに仕事できてるんやとか、次につなげられてるんやって思った。」
 
 
 19790238536_a385fdc04d_k
 
 
● 3日目—『シゴトはっけんかるた』
 
夏休み明けの8月25日、3回目の授業。
ひさしぶりだったけれど、廊下ですれ違う高校生たちが声をかけてくれました!
この日行ったのは『シゴトはっけんかるた』。
 
「シゴトはっけんかるた」とは
一般的なカルタとはルールが違います。カードにはさまざまな職業が描かれており、ある職業の特徴(ヒント)をスタッフが3つ挙げ、高校生とコンポーザーが、その職業、すなわちカルタの絵札を当てるゲームです。3つ全てのヒントを聞けば解るけれど、少ないヒントで答えたチームほど高得点がゲットできます。
 
 
20611853264_b151fcdd37_k
 
 
だれもが知っているシゴトもあれば、
具体的に何をするのかわからないシゴトや名前を聞いたことのないシゴトも!
世の中には自分たちが知らない職業がまだまだたくさんあるということを知るワークです。
 
 
21223962092_0aeb360bed_k
 
21046260170_068f3a931e_k 
 
 
● 4、5、6日目ー『現在のジブン』
 
4回目から6回目は、『現在(いま)のジブン』のお話をします。
高校生の時にどうやって進路を選んだのか、
いまどんな勉強や仕事をしているのか、
そこから何を学んだのかを、高校生に伝えます。
 
 
22347951279_d01b5dc9da_k
 
21085220891_f5478205db_k 
 
 
話をしたコンポーザーの中には、これまでの授業とは少しだけ違う雰囲気を感じている人もいました。
高校2年生の2学期になり、「そろそろ進路を考えなきゃ」と悩んでいた生徒も多かったのかもしれません。
 
 
 20456306583_4556b21b9f_k
 
20889433150_d325becd8e_k
    
 
話を聞いて、
「やらなきゃいけないことは分かってる。
今日も朝から学校行かなくちゃいけないのは分かってたけど、行けなかった」と、
自身が抱えている悩みを打ち明けた高校生もいました。
 
 
22347786029_b619b095ed_k
 
 
第6回の授業終了後、各クラスの担任の先生たちとミーティングの時間を設けていただき、
最近の生徒たちの様子やこれまでの授業の振り返り、残る3回の授業について話し合いました。
 
ある先生が、
「高校2年の秋になり、進路決定に向けていま私たちは教師として生徒たちを追い込んでいる時期です。
この姿勢を崩して、何も動けていない生徒たちを承認することはできません。
だから、D×Pのスタッフとコンポーザーでその役目を担ってほしい」と話してくださりました。
 
先生は、あえて厳しい現実を見せていくことで生徒たちの背中を押して、
D×Pは、不安やしんどさを抱えた生徒たちをまるごと承認することで生徒たちの背中を押していく。
 
先生が話してくださったその言葉からは、生徒たちへの心からの思いやりが感じられました。
そして、私たちも「先生とは違う立場に立つD×P、コンポーザーだからこそできることがあるんだ」と強く実感できる、そんなあたたかい言葉でした。
 
 
後編へつづく。(2月18日正午 更新予定)
 
 

D×Pサポーター、募集中!

D×Pが、通信制・定時制高校で開催するこの授業。『クレッシェンド』は、寄付によって運営されているんです。

2017年度、D×Pにご寄付をいただいた方は656名。わたしたちの価値観に共感し、一員になってくださったたくさんの方々に支えられています。

ぜひ、あなたも。D×Pの価値観を、一緒に大きく広げるサポーターとなってください。

D×Pを寄付で応援する

ページトップへ