「楽しかった!また、明日ね。」ー春日丘高校(定時制課程)授業レポート


「今日も楽しかった!また明日ね。」なんて、いつぶりだろう。


学校を卒業して大人になったいま。

また明日会える場所があるということも、

また明日会いたいと思える人がいることも、とても久しぶりだった。

 

でも、もしかしたら。

大人になっただけじゃなく、高校生にとっても

「楽しかった!」と言える時間は久しぶりだったかも、しれません。

 

2017831日〜97日、春日丘高校の定時制課程で4回の授業「クレッシェンド」を開催しました。

カメラを携えて春日丘高校の教室に出入りしながら、大人と高校生の「また明日ね」の言葉を眩しく思いながら聞いていたD×Pの広報インターンの「いそちゃん」が、春日丘高校での授業レポートをお届けします!

クレッシェンド』とは?

通信・定時制高校の生徒に特化した授業です。社会人・大学生ボランティア(コンポーザー)との対話を通して、生徒たちが社会関係資本(人とのつながり)をつくることを目的としています。

1回:「自己紹介しよう!」(2017831日)

初めて教室に入った日。緊張だったり、不安だったり、楽しみだったり。いろんな感情を抱く生徒たちが教室で待っていました。

D×Pと生徒たちは「初めまして」。ふだんは一人の先生が黒板の前に立ちますが、この日はD×Pスタッフとコンポーザーが黒板の前にずらっと並びました。

場を和らげようと、D×Pスタッフが言う冗談にも笑顔を見せる生徒は少なく、「どんな反応をしたらいいのかな?」ってうかがっているような表情が見えました。

 

最初のワークは、『すごろくトーク』。止まったマスに書かれている質問に答えながら、コマを進めていきます。

ミッションのマスに止まった生徒は、好きな食べ物をジェスチャーで表現したりとどのグループでもわいわいと盛り上がっている様子でした。

 

そんな、楽しそうな雰囲気の中でも、質問に対してたくさん話生徒「特にない」「別に」と会話が止まる生徒とそれぞれです。自分に対しての質問には乗り気じゃない様子の生徒も、コンポーザーの年齢を当てるというシーンでは、率先して答えを予想したり。生徒たちは、それぞれの方法でコンポーザーとコミュニケーションを取っているようでした。

 

次のワークは「クイズDE自己紹介」

すごろくトークを一緒に楽しんだコンポーザーとは少しお別れ。ゲームを通じてコンポーザーと打ち解けたグループは「バイバイ!」と手を振り合っていました。

『クイズDE自己紹介』とは?

生徒は質問にに沿って、名前を書かずに答えを記入します。コンポーザーは、それぞれの答えを見て、生徒に質問を重ね、生徒の誰がどの回答なのか予想するゲームです。また、コンポーザーは一つウソを記入し、生徒はどのエピソードがウソなのか予想します。

コンポーザーは少しずつ質問を重ね、どの生徒が書いたものかを予想します。これがなかなか難しくって。にやにやとした顔の生徒たちに首を横に振られ、悔しそうな顔を見せるコンポーザーの姿もありました。

生徒たちを当てるクイズが終わったところで、スタッフからコンポーザの回答には嘘が書かれていることが告げられます。

生徒たちから、次々と質問をされ、タジタジになっているコンポーザーや仕返しとばかりに、にやにやと生徒たちを眺めるコンポーザーも。

授業終わりのアンケートに「お姉さん(コンポーザー)に嘘をつかれていたと知って悲しかったって書こうかな〜」なんて冗談を言う生徒もいました。

 

1回目の授業でしたが、もう翌日の授業の内容をコンポーザーに質問してくれる生徒も。授業の終了時に眠そうな生徒もいましたが、コンポーザーからの質問に、「今日は、アルバイトを頑張ってん。」「結構、集中力を使った。」とそれぞれの気持ちを教えてくれました。

初回の授業のテーマは、D×Pと生徒たちの間にある壁を取ること。2時間前とは、全然違う表情を見せてくれる生徒もいて。少しは壁が取れたかな?と感じました。

 

第2回:「失敗なんてあたりまえ!」(201791日)

2回目の授業のテーマは、自分が知らない他の人の生き方を知ること。

まずは、『シゴトはっけんカルタ』で。世の中には、まだまだ知らない仕事がたくさんあることに生徒たちは気づきます。

『シゴトはっけんカルタ』とは?

一般的なカルタとはルールが違います。絵札にはさまざまな職業が描かれており、ある職業の特徴(ヒント)をスタッフが3つ挙げ、高校生とコンポーザーが、その職業、すなわちカルタの絵札を当てるゲームです。

一つ目のヒントでどんどん決めていく大胆なグループに、慎重に回答を選んでいくグループ。「ひよこ鑑定士ってなに?」「ケアマネージャーと介護士ってどう違うん?」と、カルタに書かれた職業を眺めながら、会話が広がるグループもありました。

「ひよこ鑑定士」についての説明がされた時は、クラスのあちこちで驚きの声がありました。両手を広げて、ぴよぴよとヒヨコのジェスチャーをする生徒も。コンポーザーもスタッフも生徒たちも、つい笑ってしまうようなそんな瞬間でした。

 

定時制高校は、年齢や国籍も違う生徒が通っていることもあります。もう一つのクラスには、日本語がまだうまく話せない留学生がいました。

カルタのカードを並べる時、几帳面にきれいに並べる彼女。そんな様子を見たコンポーザーも、一緒にきれいに並べたのだそうです。すると、コンポーザの方をちらりと見て、笑ってくれて。

言葉がなくても、ちゃんとコミュニケーションができる

と感じた出来事だったのだそうです。

 

そして、この日のふたつめのワーク『オトナたちの人生経験談』へと続きます。

真剣な表情でコンポーザーの過去に耳を傾ける生徒、じっと何かを考え込むような様子を見せる生徒。「話、長いな。まだ聞くの?」なんて、ちょっと飽きてしまっている生徒。

ずっとゲームをしながら、時折コンポーザーの方を見ながら話を聞く生徒。それまで、顔はスマホに向いていたのに、じっとコンポーザーを見つめるときもありました。

同じグループの友達と絵を書きながら、喋っていた生徒たちもコンポーザーの過去の話を聞いて、自分たちも不登校を経験していることを話してくれました。

 

でも、同じような経験をしている子が集まっているこの学校は、クラスメイトとも打ち解けやすい。だから、「今は学校が楽しい」と話してくれました。本当に楽しんでいる様子が伝わってくる彼らの表情から、嘘や遠慮のない言葉なんだと感じました。

授業の終わりには、コンポーザーそれぞれの過去の話や今思っていることを聞いての感想を学びシートに残してもらいました。

「これ、絶対書かないとあかん?」そんなふうに聞く生徒の中には、学びシートに記入するよりもコンポーザーと会話をする時間を大切にしたいと話していた生徒もいます。彼ら彼女たちのそれぞれの考え方があるのだと感じました。

 

第3回:「自分のこれまでを考える」(201794日)

この日の最初のワークは『サイコロトーク』

順番にサイコロを振って、お題に沿って今思っていることを話していきます

ある生徒の、最近の腹が立ったことは、バイト。「パートのおばちゃんに同時にたくさん仕事を振られた事。でも、おばちゃんの走り方は可愛い」と話していました。

「腹が立った。」だから、この人が「嫌い」。そんなに単純じゃなくて、いいところも知っている。そんな一人の生徒の人付き合いにコンポーザーやスタッフが「いいな」って学ぶこともあります。

これから腹が立つことというテーマには、「なにそれ?」というツッコミと笑いも。

最近は料理や早寝早起きを頑張っているとか、これからはジョギングをしてみたいとか。最近思ったことから、どんどんこれからの話を聞いてみます。

 

そして、生徒たちが話をしやすい雰囲気になったところで今回のメインワーク『自分史』に移ります。

「自分史」とは

自分の過去に起きたことを振り返り、未来に起きそうな出来事を思い浮かべるワークです。それぞれの出来事を付箋紙に書きだし、それを一枚の大きな紙にみんなで貼っていきます。

今ハマっているものから、過去のハマっていたものや過去のしんどかったことなど、お題に沿って書き出していきます。よくコンポーザーに話しかけてくれるものの、自分のことについてはなかなか話せず、書き出せない生徒もいます。

そんな生徒もどんな小さなことでもいいから、どんどん書こう!という雰囲気後押しできたのか、ワークを通じてたくさん付箋書いてくれました。

自分の趣味を伝えるのが恥ずかしい。自分にとっては大好きなことだけど、他の人が聞いたらバカにされるかもしれない。そんなふうに思っているのか趣味の話題になると口ごもってしまう生徒もいました。

自分が好きなものについて自信がもてないことは、私もよくわかるから。こっそり彼女と同じ趣味があることを伝えると、嬉しそうな表情になりました。自虐も交えながらも、「それでも、好きなものは好き!」という話をたくさん聞くことができました。

「助産師になりたい。」「ダイエットをがんばりたい。」「彼氏が欲しい。」といったこれからしたいことを描いた生徒。

「誰とでも仲良くなれるおばあちゃんになりたい。」「芯が強い人になりたい」など、なりたい人物像を描く生徒もいました。

 

「都合のいい人になりたい」

そんな、「えっ?」と聞き返しそうになる言葉も、詳しく聞いてみると「自分にとっても相手にとっても都合がいい、みんなが幸せになれたらいい」と話していました。言葉の裏にある、一人一人の思いにも触れた。そんな一日になりました。

授業が終わった後も、なかなか教室を出ようとせずスタッフやコンポーザーの周りに集まってくる生徒たちも増えました。学校の先生に早く帰るようにと促されてしまうぐらい話し込んでしまう生徒も。

名残惜しいけど、「また、次の授業でね。バイバイ」と手を振りました。

 

第4回:「自分のこれからを考える」(201797日)

この日の、最初のワークは『テレストレーション』

絵の伝言ゲームのようなワークです。今までになく、静かな教室で黙々と絵を描く生徒たち。

最初は、「描くのが苦手・・・どうしよう。」と話していた生徒も、描き始めるとスラスラとペンを動かしていました。伝言ゲームなので、自分が書いているものについて声に出してはいけないのですが、ついつい言葉にしてしまう生徒もいて。「あかん、言っちゃった・・。」「今の忘れて!」と静かに盛り上がりを見せていました。

そして、ついにクレッシェンド最後のワーク、「ユメブレ」の時間になりました。まずは、自分のユメを考え、絵を描いてもらいました。

『ユメブレ』とは?

それぞれの「ユメ」をクレヨンで画用紙に描き、発表するワーク。 D×Pでは「ユメ」の定義を、 「ちょっと好きなこと、やってみたいことも、全部ユメである」としています。 「将来こんな仕事に就く ! 」といった大きな目標から、「こんなところに行ってみたい」というようなやりたいことも、「ユメ」です。

 

テレストレーションでは、スラスラと書いていた生徒もユメお絵かきになるとなかなか描き出せなかったり。自分の欲しいバイクの画像をすぐに検索して、見ながら描いている生徒もいました。

真っ白の画用紙が配られてすぐ、「動物カフェ」と文字で書き出した生徒がいました。どんな動物がいるカフェ?と質問すると、たくさんの動物の名前が周りに書き込まれていきました。

最後はクラスのみんなで円を作って発表しました。

「将来はプログラマーになりたい。そのためにも、今はスペックの高いパソコンが欲しい。」「ゲームを作りたい。」「シンガーソングライターになりたい。」

「家が欲しい。」「親とちょうど良い距離感で暮らしたいから、実家の近くで一人暮らしをしたい。」「みんなでお酒を飲んでみたい。」「バイクを買ってどこかへ出かけたい。」

そんな、様々なユメが生徒それぞれの口から語られました。

緊張して手が震えていたり、照れや恥ずかしさからなのか、なかなか最初の言葉が出ない生徒もはっきりと最後まで話し切る生徒もいました。

仲良くしている友人の知らなかった一面、あんまり交流がなかったクラスメイトとの共通の考えなど、初めて知ることもたくさんあったようでした。

スタッフからみんなの前でユメを発表することを告げらると、少し嫌な顔をした生徒もいました。最後に「みんなの前で話すのが嫌だなと思った人や緊張した人?」尋ねてみるとクラスの半分ぐらいの生徒が手を挙げていました。

嫌な表情には、今までみんなの前で話す機会がなかったり、そもそも苦手だったりそれぞれ理由がありました。それでも、全員の前で何か少しでも話せたこと、話せなかったこと。それぞれがこのユメブレストを通じて、これからのことを考えるきっかけになったのではないかと思います。

「みんなのユメに乗っかりたい。」

「みんなのユメに乗っかりたい」というのは、ユメブレの最後にスタッフとしてこの授業を一緒に作った企画運営インターン生が話した「ユメ」です。

クラスの一人一人のユメを聞いて、一つ一つ丁寧にコメントをして。して、みんなのユメに乗っかりたいと話したスタッフの言葉に、なんだか照れ臭いような嬉しそうな表情がたくさん見えました。

ちょっとくすぐったいあたたかな空気に包まれた教室。このクレッシェンドが生徒だけでなく、コンポーザーやスタッフにとっても良い時間になったように感じました。

 

この日もまた、放課後の教室に残ってくれる生徒も多くて。生徒だけじゃなくコンポーザーもスタッフもお別れが名残惜しい様子でした。この4回の授業も今日で終わり。学校に行けば、明日も会える。そんな関係ではなくなってしまう。

 

だから、生徒からの

「文化祭来てや!」「明日もこっそりおったらええねん。」「来年もある?」

そんな言葉が、本当に嬉しかった。

 

また会おうね。また、いろんな話をしようね。

次に会える時を楽しみにして、

「また今度ね。バイバイ」と手を振りました。

 

Text and Photo by 磯 みずほ

 

 

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この授業「クレッシェンド」。

正直なにしてるのか、ちょっとわからない授業…なんですよね。写真と言葉でどのくらい伝わるかな…とたくさんたくさん悩みながら、文章にしてみました。

 

こうして文章にしたのは、この公立高校での授業が、たくさんのひとの寄付によって運営されているから、なんです。DxPに寄付してくださっている方は、なんと約300人。いまは大阪府内の高校の4割以上がクレッシェンドを導入しています。

 

よかったら、あなたも。

DxPと一緒に寄付を通して高校生を支援しませんか。

 

D×Pへの寄付を考えてみようかな、と思った方はこちら

 

そしてそして。

この記事に出てくるあったかい気さくな大人たち。
社会人ボランティア「コンポーザー」も募集しています。

自分の過去の経験を高校生に話したり、

高校生の話を聞いたり、

高校生に悟されたり。(笑)

そんな、ボランティアっぽくない、ボランティアです。定時制高校は主に平日夜の授業なので、仕事をしながら関わることができます。

あなたも高校生ひとりひとりに関わってみませんか?

まずはコンポーザー募集説明会にいらしてください。あれこれ、お話します。

 

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