「自分探しをするんじゃなくて自分らしく生きればいい。」ー布施高校(定時制課程)授業レポート

「自分探し」という言葉が世の中に浸透し、「このままではいけない!」と焦ってしまうことはないですか?

 

私は、ありました。

 

現状に満足できず、きっとどこかに理想の私がいるんだ。新しい生き方や居場所を探さなければ・・なんて、切羽詰まってしまって、息苦しくて。

 

タイトルにある「自分探しをするのではなく、自分らしく生きればいい」という言葉は、今回の授業を振り返って生徒が記す、学びシートに書かれていたものです。

 

2017年6月8日〜6月29日、布施高校(定時制課程)にて、全4回のクレッシェンドを開催しました

 

ある生徒が”学びシート”に残していた

「自分らしく生きればいい」

その言葉に救われた私。D×Pの広報インターンの「いそちゃん」が、
布施高校での授業レポートをお届けします!

 

生徒たちと一緒に授業を受けるように、タイトルにある言葉が書かれた背景を少しだけ覗いてみてください。

クレッシェンド』とは?

通信・定時制高校の生徒に特化した授業です。社会人・大学生ボランティア(コンポーザー)との対話を通して、生徒たちが社会関係資本(人とのつながり)をつくることを目的としています。

第1回:「目の前の人のことを知る」(2017年6月8日)

授業開始前のしんとした静かな教室。仲の良い生徒が固まっているグループも、ぼそぼそと小さな声で会話していました。これから、どんな授業が始まるのかわからないという雰囲気から、「どのグループに座ればいいん?嫌や。」と、嫌悪感をあらわにする生徒もいました。

初めての授業は、『すごろくトーク』。目の前にいるコンポーザーと生徒たち、お互いがどんな人なのかを知るためのゲームです。

最初からたくさん話をする生徒がいる一方で、緊張している様子の生徒も。コンポーザーとの初めての出会い。うまく話せない場面もみられました。

『すごろくトーク』とは?

高校生、コンポーザー合わせていくつかの小グループに分かれます。

グループ内で順にサイコロを投げ、出た目の数だけ駒を進めます。マスには話題のテーマが記載されているので、それについて話します。また、ミッションマスもあり、指示にしたがってグループでミッションに挑戦し、成功すればポイント獲得。ポイントの多かったグループが優勝です。

 

ゲームを通じて会話の糸口を作り、コンポーザーがそれを引き出していきます。最初は答えられなかった生徒も、少しずつ自分の気持ちや想いを口にだせるようになりました。

昨年もD×Pの授業を受けてくれた生徒たちは、スタッフやコンポーザーに自分から「久しぶりやな。」と話しかけていたり。授業の始めには「去年、この授業だるかった。」と話していた生徒も、スタッフが声をかけると「覚えてるんやな。」と少し驚いた様子。同時に、照れたような笑顔を見せてくれました。

授業開始前、教室に入ることを嫌がっていた生徒も、授業の終わりには笑顔に。何が始まるのかわからない授業が、コンポーザーやオトナたちと話したりゲームをする授業”だということがわかって安心してくれたのかもしれません。

2回目の授業がどんな風になるのか楽しみです。

第2回:「多様な生き方を知る」(2017年6月15日)

2回目の授業のテーマは、「多様な生き方を知る」。世の中には、まだまだ知らない仕事がたくさんあること、様々な生き方をしているオトナがいること。少しだけ覗いて視野を広げてもらえたらいいなと思います。

まず一つ目のワークは『仕事発見カルタ』

『シゴトはっけんカルタ』とは?

一般的なカルタとはルールが違います。絵札にはさまざまな職業が描かれており、ある職業の特徴(ヒント)をスタッフが3つ挙げ、高校生とコンポーザーが、その職業、すなわちカルタの絵札を当てるゲームです。

このワークでは、グループごとに取り組み方に特色が出ていました。できるだけ早い段階で回答を決めようとするグループや慎重に回答を決めていくグループなど。答えを予想するだけでなく、それぞれの仕事についての話をする場面もみられました。

 

そして、この日のふたつめのワーク『オトナたちの人生経験談』へと続きます。

 

この日、生徒たちは3名のオトナの人生体験談を聞きました。

コンポーザーとなるオトナたちも、ひとりひとり人生が違います。

その中で嬉しいこともあれば、悩んだり、挫折したことも。そんな経験から生徒に話す内容もそれぞれです。

 

コンポーザーの話を聞いて、最初は頷いて聞いているだけだった生徒たちも少しずつですが、自分の人生と重ね共感したり、「そんな生き方もあるんや」と感想を口に出し始めます。

 

「中学校の頃は、学校に気の許せる友達や居場所がなかった。」

 

そんなコンポーザーの中学生の頃の話に、「私もそうだった。」と返してくれた生徒がいました。少し躊躇うような表情に気がついたコンポーザーが「高校ではどう?」と聞いてみると、同じグループの生徒たちと出会えたこと、「友達になれて嬉しい。」と返してくれました。そんな生徒の様子に周りの生徒も嬉しそうな表情を見せてくれました。

 

定時制高校では、様々な年齢の生徒が一緒に学んでいます。コンポーザーの話を聞いて、自分の今までのことを話してくれる生徒もいました。「挑戦する人生を送りたい。」「人生は”自分で選ぶ”ということが大切。」そう話す姿はとても格好良く、生徒だけでなくコンポーザーも一緒になって学ぶことがありました。

 

D×Pの授業では「否定しない」ことの他に、「様々なバックグラウンドから学ぶ」「年上・年下から学ぶ」ことも大切にしています。自然とこのような雰囲気ができているグループに嬉しさを感じました。

 

普段、仲良くしている同級生のそれぞれの過去を知り、今までよりも関係性が深まった。そんな、あたたかな空気に包まれるような時間となりました。

第3回:「自分のことを振り返る」(2017年6月22日)

この日の最初のワークは『ウソはっけんクイズ』。

どこの学校、クラスでも、なかなか書き出せない生徒が多いこちらのワーク。この日も「嘘をつくの苦手なんですよね。」と悩んでいる様子の生徒がいました。

『ウソはっけんクイズ』とは?

「私の好きな食べ物」や「私のプチ自慢」など、テーマを一つ選んで2つの文章をつくります。そのうちの一つは事実、もう一つはウソのエピソードを書き、他の人たちはどちらがウソのエピソードなのかを当てます。ちょっとした自己開示とユーモアを織り交ぜたゲームです。

コンポーザーが、「自分の好きなテーマにしたら?」「友達が知らないことをクイズにしてみたら?」などと伝えると、悩みながらも高校以前の自分についてや自分の好きなものについてのクイズを書き始めたようです。

そして、生徒たちが話をしやすい雰囲気になったところで今回のメインワーク『自分史』に移ります。

「自分史」とは

自分の過去に起きた「嬉しかった出来事」、「悲しかった出来事」を振り返り、未来に起きそうな出来事を思い浮かべるワークです。それぞれの出来事を付箋紙に書きだし、それを一枚の大きな紙にみんなで貼っていきます。

自分の過去のことやハマっていたことについて、コンポーザーに話をする生徒が多い一方で、自分の将来については、積極的に話をする生徒と話すことに抵抗を感じているような様子の生徒の両方がいる様子でした。

「高校卒業後は、保育士の資格を取り児童福祉施設で働きたい」と具体的なプランを口にする生徒や「意見を言える人になりたい」「自分のお金で旅行したい」など、なりたい人物像や、やってみたいことを話す生徒も。

3回目の授業が終わる頃、生徒たちの持つ様々なユメが、たくさんの付箋に書き込まれ模造紙に並びました。

次回は最後の授業。この日、言葉にしたユメたちをもう少しゆっくり考えてみます。

第4回:「自分の想いを表現する」(2017年6月29日)

ついに、最後の授業の日。随分とリラックスした表情の生徒が増えました。コンポーザーに「今日が最後だね。」と寂しそうな表情を見せる女子生徒の姿もありました。

この日の、最初のワークは『さいころトーク』

次々にさいころを振っては、トークを楽しむグループもあれば、なかなかテーマに沿った話が思い浮かばず悩んでいる生徒もいます。一人の生徒が「最近、お母さんと一緒に食べるためにケーキを買った。」と話すと、他の生徒も食事に関するエピソードを話したりと、どのグループも和やかな雰囲気でゲームは進行しました。

今回のクレッシェンド最後のワークは、ユメお絵描きとユメブレスト。授業は、生徒たちの「これから」に集中した時間になりました。

『ユメブレ』とは?

それぞれの「ユメ」をクレヨンで画用紙に描き、発表するワーク。 D×Pでは「ユメ」の定義を、 「ちょっと好きなこと、やってみたいことも、全部ユメである」としています。 「将来こんな仕事に就く ! 」といった大きな目標から、「こんなところに行ってみたい」というようなやりたいことも、「ユメ」です。

絵が苦手と話す生徒は文字で、「芸能人に会いたい」「髪の毛を染めたい」「エステに行ってみたい!」などの“これからやってみたいこと”を書き出していました。そして、どんどん溢れる“やってみたいこと”は、画用紙に収まりきらないほどになりました。

ユメお絵かきが終わった後は、生徒、コンポーザー・スタッフの全員が大きな円を作り、描いた絵を見せながら順に発表をするユメブレストを行いました。

「美術館の警備員になりたい。」「声優になりたい。」

「友達と海でバーベキューをしたい。」「お花に囲まれて過ごしたい。」

「大切な人と人里離れたところでゆっくりと暮らしたい。」など様々なユメが語られていきます。

ユメが思いつかない生徒や絵を描かずに、授業が終わった生徒もいました。

それでも、D×Pのクレッシェンドではいいんです。みんなと同じタイミングで、せーので表現ができなくても、授業のどこかや放課後でも生徒が思っていること”を誰かに伝えることができたり、表現できていればいいなあって思っています。それがユメではなくても、どんなことでも。

授業の最後には、みんなの絵を並べて展示会をしました。コメントをカードに書いて生徒同士やコンポーザーと交流を楽しんだり、積極的に他の生徒のユメに「頑張って!」「ええやん。」とコメントを残す生徒たちの姿も見られました。カードは書かなかった生徒も、もらったコメントを眺めて書いてくれた生徒のことを気にしていたようです。

お互いのユメを知った生徒たちは、「お互いで店やろうや。」これからのこと”について談笑する場面もありました。

「みんなそれぞれ違うストーリがあり、自分の人生は自分だけのもの。」

4回の授業の中で、コンポーザーや、一緒に授業を受けている同級生の人生に少し触れた生徒たち。それぞれ違うストーリーを持っていることに改めて気づくことができたのではないでしょうか。2回目授業の『オトナたちの人生体験談』の後には

「自分の居場所とか生き方って大事だな。」「人それぞれいろんなストーリーがある。自分もいろんな話ができるようになりたい。」「人の話を聞くのは面白い。」など、様々な感想を学びシートに残してくれました。

 

自分の人生と他人の人生は違う。違っていいということに気づき、「人には人の人生があって、自分探しをするんじゃなくて自分らしく生きればいいんやと思った。」という感想も。

 

誰かの人生と比べて、理想の自分”を探すんじゃなくて、今の自分を受け入れて大事にしてあげて。そうやって一歩ずつ歩いて行けば、きっと自分らしく生きていけるのだと思います。

 

忙しく過ごす毎日の中で、自分の人生は自分だけのもの”だという当たり前のことを忘れてしまいそうになるときもあります。そんな時に、今回のクレッシェンドを少しだけでも思い出してくれたらいいな。そんなふうに思います。

Text by 磯 みずほ

 

 

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この授業「クレッシェンド」。

正直なにしてるのか、ちょっとわからない授業…なんですよね。

こうして文章にしたのは、この公立高校での授業が、たくさんのひとの寄付によって運営されているから、なんです。DxPに寄付してくださっている方は、なんと約300人。いまは大阪府内の高校の4割以上がクレッシェンドを導入しています。

 

よかったら、あなたも。

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そしてそして。

この記事に出てくるあったかい気さくな大人たち。
社会人ボランティア「コンポーザー」も募集しています。

自分の過去の経験を高校生に話したり、

高校生の話を聞いたり、

高校生に悟されたり。(笑)

そんな、ボランティアっぽくない、ボランティアです。定時制高校は主に平日夜の授業なので、仕事をしながら関わることができます。

あなたも高校生ひとりひとりに関わってみませんか?

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